39試合目 コクハク
「え…」
徹の頭の中ではわかっていた事実だった。
しかしそれに確信が持てなかったため自分の妄想ということで消化をできていた。
だが今それが確定となったとわかった途端、急激な驚きで心臓が高鳴り始めた。
「えっと…俺は…」
「今は答えないで!!!!」
俺の言葉を切り裂くように大きな声で遮った。
「わかってるのよ、私のことが好きでないことは。でも今答えないで!!!絶対好きにさせてやるんだから!!!」
そのまっすぐな眼をみてそれを断るのはなんだか違うと徹は感じた。
「わかった。」
俺はこれに応じるのが一番こいつのためになると感じた。
さっきまで邪な心で考えてた俺を思い出すと急に恥ずかしくなってきた。
その時だった。
「に、兄さんがまた女の子を侍らせた…」
柚希が扉の後ろでひょこっと顔を出し静かでかつ殺気含みの声で言った。
「侍らせてないわ!!!!大体またってなんだ!???」
「白村さん!!!兄さんには柚希がいますからお引き取りください!!!」
「それはできない!!!ぜったい虜にしてやるんだから!!!」
二人が俺をめぐって争ってる…こういう時に言うことは…
「私のために争わないで!!!!」
決まった。
「兄さんは黙っててください!!!!」
「徹はふざけてないで私を好きになれ!!!!!」
理不尽オブザイヤー… っていうか
「今徹って呼んだ???」
「そ、それはこれから好きなってもらうんだから当然だろ!!!!」
やべえ。下の名前で女子が呼ぶなんて、紫以来だからドキッとする。
「に~~~~い~~~~さ~~~~ん?????」
「ごめんなさい。」
「兄さんは一生恋愛禁止!!!」
「おい!それは重罪すぎるだろ!???」
「それは重すぎたかも…」
「わかってくれてありがとう妹よ。」
「私とだけはいいよ???」
「またかよおおおおおおおおおおおお!!!!!」
このブラコンを止めるマシンがあるなら100億で買う。
「お、おい、徹…もし付き合ったら私となんでもできるんだぞ???」
白村はなぜか異様に胸を強調した。
ど、どうだ。これで徹も私の虜に…
その時鈴の胸を支えている腕を徹はつかんだ。
「ちょ…いきなり…!?」
「ふざけるな。自分の身体は安く売るもんじゃない。どうせ売るなら高値で見せつけろ。そっちの方が俺はこうふ…じゃなくて好きになる。」
「徹…。ごめんなさい…でも叱ってくれるなんて、もっと好きになった!!!」
そういうと鈴は徹に抱き着いた。
「ちょ!??話聞いてた!???」
「兄さん…」
「なんだ…妹…」
「家族会議ね。あと夕食抜き」
「なんでだあああああああああ!?????」
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