22試合目 月が沈んで日が昇る
俺と紫もだんだんと睡魔に襲われ眠りに入った。
しかし俺は朝四時ほどにパッと目が覚めた。そこからまた寝ようとしたがしっかりと目は覚めてしまった。
しまった。少し風にでもあたりに行くか。
とリビングのほうまで行くとそこにはさくらがいた。
どうした???こんな早くに。と聞くと
「少し目が覚めちゃったのよ。」
といいながらホットミルクを飲んでいた。
「あなたもいる???」
と聞くさくらに俺は、ほしいと首を縦に振った。
するとさくらはもう一つマグカップを用意し、そこにホットミルクを注いで俺に渡してきた。
ありがとうとだけ言いそれを持って俺はさくらが座っている席と反対側に座った。
二人でゆっくりとホットミルクを飲み落ち着いたとこで俺はさくらに
どうして春馬のことが好きなのか?
と質問した。
さくらは
「過去に助けてもらったからよ」
と当時好きになったときの話を始めた。
~~~1年前~~~~
高校の入学式の日、たまたま車の調子が悪くさくらは歩いて学校に行かなければならなかった。
「なんてついてないのかしら。」
そうため息交じりにつぶやいた。
読者の皆様はお忘れかもしれませんがこの相川さくらという人間は本来は少し根暗で無口で不愛想なのだ。
さくらは徒歩など久しぶりで自分の歩くスピードなどわかっておらず学校に初日から遅刻をしてしまった。
仲のいい友達などいないため、みんなの初期の印象は遅刻をする不真面目な人という印象になってしまった。
しかし今は高嶺の花という印象だ。
この印象に変えた人物こそ、磯貝春馬だった。
最初遅刻をしたときもうひとり遅刻をしていた。
「あなたも遅刻???」
さくらは聞いた。
「ははは!!!そうだね!!!」
と彼は笑った。
彼の制服は初日にして泥や枝まみれだった。
私はその時なんて醜いんだと思った。
「なによ?その姿。」
「これは途中の道でいろんな人を助けてたらこうなっちゃった!」
とまた彼は笑顔で言う
そんな人間はいない。誰かのために自己犠牲をする人間なんて小説の中の人だけだ。
そうさくらは思っていた。
そんなこんなで二人は遅刻をして遅れて入学式に参加した。
入学式が終わると二人は呼び出され先生から詰められた
「なんで初日から遅刻をするんだ!!!」
「それは私の家の車が…」
「言い訳はいらん!!!!」
教師というのはいつもそうだ。自分が正しいと本気で思ってる。
だから生徒の話は聞かない。
その時だった。
「僕がこの子を引っ張り遅刻させました。」
彼はそういった。
「え???」
何を言ってるの??
「そんな事実は…」
とさくらが言おうとすると彼はそれにかぶせて
「僕が遅刻しそうで一人だとはずかしいので前にいたこの人を無理やり引っ張りました!」
彼はそのようなことをずっと言い続けた。
「磯貝。それは相川にとって迷惑だろ!!!謝るんだ!!!」
「はい。引っ張ってしまってごめんなさい。」
彼は頭を私に向け下げた。
「相川も許してやってくれ。」
と先生はいい彼を生徒指導室へ連れて行った。
そのあと帰り際にロッカーに彼がいたので聞いた。
「えへへ。ひどい目にあった~~~」
「なんでかばったの????馬鹿なの???」
「ん???さっきの人!!それよく西屋敷にもいわれる!!!」
西屋敷???おそらく友人だろうか。
「じゃあなんで…」
「でもさ。あんな怒り方されるようなことしてないでしょ??
ただ車の調子が悪かったのは本当だよね??」
彼はこの上なくまっすぐな目をしていた。
私の話を一ミリも嘘だと思わず。
「くっ…あはは!!!!あなたって本当にバカ!!!」
思わず私は笑ってしまった。
「よくいわれる~」
「あなた。名前は???」
「磯貝春馬だよ!」
そして春馬は笑顔で手を振り帰っていった…
~~~~~~~~~
「これが馴れ初めよ。」
「そうだったのか。ってかだから俺の名前も知ってのか!!!!」
「そうね。というかお互い自己紹介をしたのになんで名前を春馬君は覚えてくれないのかしら???」
「いやお前はしてなくね???」
「え???」
「うん。」
「あ~~~~~~~~~~!??????」
今頃気づいたポンコツだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます