11試合目 勝利の引換
会場はざわめいている…。俺たち三人は何が起きたかわからなかった。
しかし一つわかることは武田さんが足から流血しているという事実だ。
な、なにが起きたんだ…。確かに一本を決めていた。しかしその瞬間けが…
事故か、事件か。
「もしかして芥田の仕業か…?」
可能性はあった。去年ことがあったからだ。二年連続はさすがに怪しい。
しかも武田先輩は今年が最後なんだぞ…!!!!
内から火山のマグマのようにドロドロとして深い怒りがこみあげていた。
クッソ!!!!
「おい!!ふざけn…」
徹が叫ぼうとした時だった。
武田先輩は止血をされながら
「大丈夫。」
そう一言笑顔で言った。
俺はここが公共の場でなければ泣いていたかもしれない…
それほどに無力な自分が悔し…
「あの人が大丈夫って言ったんだ。大丈夫だろ?」
春馬は俺のほうを見ながら俺の気持ちを悟るかの如く笑った。
「そうだな。あの人なら大丈夫だ。」
いつも春馬はそうだ。大事な時は俺のそばにいてくれる。
こいつがモテるのも少しわかる気がした。
そしてそこから2分くらいしてようやく武田先輩の止血は終わった。
そこからの試合は長かった。けがをしているからか防戦一方…
芥田紫に一本を取られとうとう延長戦に突入した。
いや…まいったな。三年でこれが俺のさいごだ…
しかし…息をしている余裕がないほど…だ…
苦しい。
もう…ダメかも…しれn…
「武田十文字!!!!!!!!!かてえええええええ!!!!!!!!!!」
そう険しい顔で叫んだのは、西屋敷でも、相川でもなかった…
春馬だった。
磯貝…あんな声出たのか…
「すまんな。芥田。」
「ひひ???」
まだ俺は、負けられない!!!!!
「めえええええええええええええええええええんんんんんんん!!!!!!!!!!」
それは武田の過去最高のスピードで、過去最高の面で、過去最高の笑顔だった。
武田は周りの審判を見た。旗は、武田のほうにしっかりと上がっていた。
「やったああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」
思わず俺と相川と春馬はハイタッチをした。
そして盛大な歓声が体育館を包んだのだった。
大会終了後、俺たちは病院に行った武田先輩の病室の元に向かった。
「大丈夫ですか!!!武田先輩!!!」
「少し痛むが、すぐに治るってさ。」
「「よかった~」」
みんなは安堵した。
まるで胸に引っかかった鉛が外れたような感覚だった。
「しかし磯貝。お前あんな声が出るんだな。驚いたぞ。」
そうだ。俺もあんな声久しぶりに聞いた。
「うーん。今はなんか応援しなきゃって思ったんだ~。」
「かっこよかったわ!!春馬君♡」
また好きになっちゃった。
こいつは安定だな…。
その時だった。身長170cm後半でまつ毛はとても長く目はきれいな桃色、二重で色白、腰まである紫色の髪が特徴的な人がスーツを着て花束を持ってやってきた。
きれいな女の人…
「今回は大丈夫だった???武田くん!!!」
ん???武田先輩の知り合い???今回???
「わざわざ来てもらって悪いな。芥田。」
「「あ、芥田~~~~~!???」」
俺と相川は思わず、病院で叫んでしまった。
「お静かに!」
ナースの人が注意した。
ごめんなさい。
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