第62話
それは見守っていた。
楽しそうな人々。
和泉さんと六郎さんは二人でコタツに入ってる。
あったか~い。
コタツマジック。
眠気さえ湧いてくる。
金津くんはビールを飲み干す。
「うう、柿崎さんが幸せそうで良かった」
「飲みすぎだよ、新平くん」
餅子ちゃんがそのお世話。
綱子ちゃんはそろそろ寝そう。
「女神、マイスイート綱子。
寝そうになってるキミも素敵だ」
本庄猪丸はなにかヘンなキャラになってる。
それが本性なのか。
祐介、晴介は輝子ちゃんに話しかけてる。
「すげえ、美少女がいるぞ」
「あんた、和泉と一緒に住むんだって」
「何ですか、貴方たち」
「ナンパするんじゃありません。
彼女に言いつけますよ」
秀瑚ちゃんが諫める。
「とゆーか、あの男の親戚なんだろ」
「じゃ、アイツと和泉が結婚したんだから俺達とも親戚なんじゃん」
「柿崎さんの弟さんたちという事は。
私は六郎さんの従妹の娘だから、えーと。
どういう関係になるのかな」
「あんたさー、和泉とあの男がケンカしてたら教えてよ」
「すぐ駆けつけて、離婚させてやる」
「何言ってるんです。
あの二人はケンカなんかしません」
それは長い時間見守って来たのだ。
今の主人を、前の主人と女主人の息子、その前の主人をも。
前の女主人がいなくなって、そろそろ自分もいなくなる頃合いと思ったが。
その後も見守ってきて良かった。
最後にこんな楽しい光景を見る事が出来るとは。
それには分かっている。
もうじき自分はいなくなる。
そしてその場所に新しい同類が産まれる。
そいつが今後は見守っていく事になるのだろう。
新しい女主人と主人。
そしてもう一人加わる、今もこの場にいる少女。
それだけじゃない。
女主人もまだ気付いていないけど。
それには分かっている。
もう一人、小さな人間も増える。
それは長く見守ってきた。
少しだけ先の事も分かるのだ。
女主人は職場で順調に立場を上げるだろう。
職場側の都合が絡んでいる。
職場で忙しくて忙しくて仕方ない状態にもなるだろう。
しかし新しい小さな人間も育てなくてはいけない。
小さな人間を育てるための職場の休み。
制度はあるけれども使っていいものか。
女主人は真面目な人間。
色々悩むだろう。
でも大丈夫だ。
この場に居る夫婦。
あの間にも新たな小さな人間が増える。
相談を出来る相手がいる。
同じ職場の女性も力になってくれるだろう。
仕事の面でも、今はまだ頼りない職場の男が成長する。
女主人を助けてくれるはずだ。
それに誰よりも主人。
主人が付いている。
何も心配は要らない。
ふふふ。
楽しかった。
それは笑う。
最後にこんな時を過ごさせてくれて、ありがとう。
和泉さんと六郎さんは二人でコタツに入ってる。
和泉さんは辺りを見回す
「どうしました?」
「今誰かありがとうって言いました?」
「いえ、私は気付きませんでしたよ」
「あれ、おかしいな」
みんなそれぞれに話していて。
和泉さんの前には六郎さんだけ。
なにかそれだけじゃ無くて。
この先色々大変だけど頑張れ。
そんなコトを言われたような気がする。
この先、未来か。
先のことなんてまだなにも決まってない。
どうなるか分からない。
けど。
和泉さんはコタツの中。
六郎さんと二人で温まってみかんを食べてる。
皮を剥いたみかんを六郎さんが差し出してくれる。
和泉さんが口をあーんと開ける。
六郎さんが周りを気にするけど。
既にみんな知ってる光景。
誰も気にはしない。
ぽいっとみかんを和泉さんのおクチの中へ。
うん、美味しい。
みかんは少し甘くてだけど冷たくて。
だけど足はコタツの中。
すごくあったかい。
隣には六郎さん。
えへへへへ。
六郎さんが和泉さんを見ている。
和泉さんは現在ポッカポカの幸せ、真っ最中なのだ。
完
和泉と六郎の甘々な日々 ~実は和泉さんが一方的に六郎さんに甘えてるだけと言う説も有るけど和泉さんはそんな説にはそっぽを向いている~ くろねこ教授 @watari9999
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