神聖王朝イクアラティ




「へー、アレは体内の水分を奪い取る水なんだね」


「そういう認識でOKだ」


効果を見た瞬間にエセの使ってるものが何か判明できた。そう!アレは俺が少し前にムーデキリと戦った戦利品だ!


ウルフがさ、喉乾いて水を飲んだじゃん?その水を実はちょっとだけ持ち帰ってたんだよ。いつか使えるかなーって。持ち帰るのに苦労したがインベントリに入れたら楽勝だった。


「アメージング!このウォーターは素晴らしいデース」


アメージングのあとに素晴らしいを使うのは少し気持ち悪いんだが。


「ノーンお姉ちゃん、イクアラティまではあとどれくらいなの?」


ミミに話しかけられたことに驚いたのか、目をまん丸にしながら残りの距離と大体の到着時間を教える。おい、顔がにやけてるぞ。


「1つ山を越えるから馬車で1週間···よし、引き返そう」


「ダメですよネジュさん!また私が暴走したらどうする気ですか!」


暴走しなきゃいい話だろうが!抑えろ!頑張って欲望を抑えろ!









「わぁ!真っ白だね!」


「姫路城かってくらい純白で美しいな」


長かった。ゲーム時間で1週間ずっと馬車で移動だったから腰が痛い。こういうところは別に再現しなくていいわ!


「山でお星様見たのと同じくらい綺麗!」


言われてみればそうだな。山の頂上で見た星は綺麗でゲームということを忘れそうになった。シェがいたら撮りまくっていただろう。


「もう見えてますけど1度休憩しましょうか」


やっぱりあの水と城壁で囲まれた場所がイクアラティか。平地にあるため、小高い場所にいる俺たちからだと全体が見渡せるな。


馬車が止まったため外に出る。おお、空気が美味い!神聖な空気だ!いやホントに神聖かどうかは分からないけど。


「ご主人様、神聖王朝に着きましたらまた別行動でお願いします」


「おう、商売頑張れよ」


ついにネジュ商会も他国に進出か。いくら儲けているかなんて怖くて聞けない。祝福者からの評判もうなぎ登りらしいからな。


「私たちもやることあるから別行動だね」


ベアキュアとは元々一緒に行動する気なんてなかったぞ?ここに来るまでもそんなに会話してないだろ。


「いつか不老不死の薬を作ろうね!」


「オーケー!」


エセはめちゃくちゃ仲良くなってたわ。俺もミミと仲良くなったし、同じ職業の影響は多少あるのかも···?




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とある祝福者により新たな国である

仙霊連邦イクスクルゥーシブを発見

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「はぁぁぁ!?」


「私たち以外にも冒険してる人がいたんだね!」


「多分これあの人だよ!私たちもアナウンス流そ!」


ベアキュアの反応が面白い。コケが1番驚きショックを受けてるが、モモとソラは純粋に祝福してるっぽい。まあ違う国だしな。


「驚いたな···俺たちも入国するか!」


「うん!」


ミミが右手を天高く突き出す。そのあとピョンピョンとジャンプ。やば、かわいい。俺を惚れさせる気か?


「では休憩は終了しましょうか。馬車の準備をしてください」


「分かりました!」


いやー、馬を操縦するとか俺には無理だな。しかも、ノーンの世話係だろ?絶対大変。あいつ聖女の中でも残念な部類だし。


そんなことを思いながら馬車に乗り込む。もう少しで到着だ。




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とある祝福者により新たな国である

神聖王朝イクアラティを発見

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「すんなり入国できたな」


特に疑われることもなく門を潜れた。さすがSランク冒険者。


「じゃあ各々別行動にしましょう!皆様、長旅お疲れ様でした。ミミちゃんは私と一緒に教会へ向かいましょうか」


ノーンがそう言うとみんな新たな国の探索を始める。残ったのは俺とギルカンテ、トヨの3人か。


「抑えろよ?」


「わ、分かってます!移動中に頑張って練習しましたよ!」


普通は練習しなくても自制できるけどなぁ。まあいい、俺もとりあえず適当にイクアラティをぶらぶらするか。


「歩くのだりぃ」


「馬車から降りただけだわ!」


まだ1歩も歩いてないぞ!?どんだけだよ!


「ぅん?この匂いは···っ!?」


と思ったら急に走り出した!?ギルカンテ、とりあえず追うぞ!


「王よ、トヨはどこに向かっておるのでしょうか」


「知らない!てかトヨのくせに足速いッ!」


道を走ってるから多くの現地人に見られてる。頼む見ないでくれ!


しばらく追いかけると、トヨがある店の前で立ち止まった。確かに匂いがする。それも甘い匂いが。


入店すると、商業ギルドと同じようにカランコロンと音が鳴る。


「いらっしゃい。今日のオススメはこのショートケーキだよ」


店内には優しそうなシェフが1人だけ。これはスイーツ女子には堪らない場所だな。トヨもその1人なんだろうか?


「よくこの匂いが分かったな」


結構走ったからそれなりの距離はあるはずだ。それなのにこの甘い香りを察知するとは。スキルに【製菓】があるからか?


「決めた、ここで修行する」


「それはシェフに聞いてみn「いいですよ」···良かったな」


軽くね?シェフ軽すぎね?もっと料理の技術とか人柄見ないの?こいつ大雑把で食品入れる順番とか適当だぞ。何故か美味しいけど。


「じゃあそういうことだか···Zzz」


立ったまま寝やがった!走って疲れたから!?名前知らないけどシェフさんごめんなさい!


そこからしばらくの沈黙。え、超気まずいんですけど。


「ギ、ギルカンテ···とりあえず出るか」


「···はっ」


ギルカンテと顔を見合せ、そう提案する。戸惑っていたのか返事が遅かった。やっぱ人形たちがユーモアになってるわ。


外に出てお店の外装をじっくり観察する。ふっ、ケーキ屋タマゴチャンか。ネーミングセンスは俺と同じレベルだな。


「このあと何しよっか」


「移動中にしたいと仰っていたことをやればよろしいかと」


あぁ!忘れてた!馬車の中でイクアラティに着いたらやることを決めたんだった。そうと決めたら早速フィールドに向かおうか。


あれ?そういえばここどこ?




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