洗脳されし者の救済・7
「けほっけほっ···」
「ミミちゃん大丈夫?」
「うん···なんとか」
俺の後ろで声がするということは、俺も生きてるということか。
「何アルかこの煙は···全然周りが見えないネ!」
「“ウィンド”」
シェが文句を言うと、ドロリがそよ風を起こし、煙を吹き飛ばした。
「っ!?ギルカンテ!ギルカンテ!」
俺は駆け寄る。【魔法無効】はどうした!?ボロボロじゃないか!
「··········」
「お、おいギルカンテ···絶対に、絶対に守れるって言っただろうが!」
え、嘘だろ?そんなわけないよな?勝手に死なれてたまるかよ!
「ふむ、感動の別れという所でしょうか」
「油断しすぎじゃない?“
俺とギルカンテのやり取りを見ていたヘルヘルにポポが攻撃する。
「私も続くネ!“
シェも真空刃みたいなものを飛ばす。遠距離攻撃もあったんだな。
「··········“カ"、カウ···」
「ギルカンテ!無事か!?ドロリ!回復を!」
死んでない!早く回復してあげてくれ!お願いだ!
「“カ"ウ"ン"タ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"”!!!!」
!?王めちゃくちゃ焦ったよ!?うしろに立ってて良かった。
膝をついていたギルカンテが苦しそうに立ち上がり、大剣を振るう。ヘルメットで表情は分からない。俺だったら歯を食いしばってるけどな。
「っ!?まずいですねぇ!!」
大剣から放たれた、青い炎がヘルヘルを襲いかかる。ギルカンテ強し。【カウンター】で放たれたのは青い炎だったから、受けた攻撃を跳ね返すのか?
「うがぁぁぁぁぁぁ!!せめてッ···せめて貴方だけでもッ!」
青い炎に焼かれ、皮膚がボロボロのヘルヘルがギルカンテに接近する。まずい!ここは俺が守らないといけないのか!?
俺はギルカンテの前で剣を構える。
「王はッ···死なせんッ!!」
ギルカンテに片手で投げられた!何やってんだ!お前死ぬぞ!?
そしてもう一度ぶつかる。音で耳がイカれたのか、何も聞こえない。
「最期に1つ。悪い人になりなさい。善い人は疲れますよ」
ヘルヘルの声が直接脳内に響くと同時に、俺は
────────────────────────────
side地上
領主の館があった南地区は、地獄と化していた。中央から広い範囲が更地になっており、残っている建物も、最初の爆発の影響により炎上。
そんな更地見える人影は、1つもない────────ということはなく、結界を壊そうと頑張っている者、この悲惨な光景を眺めている者、建物を作業のように破壊している者など祝福者・現地人が
「ねえモモちゃん、これ私たちの出番かな?」
「だと思うよ!急いで戻ってきて正解だったね!」
「私も付いてくる必要あったの?」
桃色・水色・緑色のクマさん3人組が、現地人を見て言う。緑のクマだけやる気が無さそうだが。
「またトップ3を独占しちゃおうよ!」
「うん?あの白衣の人、コケちゃんと同じで調薬してるよ!」
白衣の男性を見つけた途端、コケちゃんと呼ばれた緑のクマはダッシュで近寄り、声をかける。
「あなた薬師?私も薬師なの!一緒に特効薬を作りましょ!」
赤の他人のはずだが、すごいコミュニケーション能力だ。いきなりすぎて、少し白衣の男性が戸惑っているように見える。
「ミーとウィズで?ナイスアイデア!一緒に頑張りマショー!」
もっと疑うなどしないのだろうか。トントン拍子で話が進んでいく。
「コケちゃんー!その人と一緒に行動するのー?」
走った分だけ距離があるので、水色のクマが手を振りながら叫ぶ。
「そっちは魔法でどうにかするんでしょー?頑張ってね!」
緑のクマも手を振りながら叫び、すぐ背を向ける。
「あのガールとはウィズで行動しないのデスカ?」
「ノー!ノー!あっちは治す方法が魔法だから」
すごい順応性だ。そして、手をヒラヒラさせながら、建物を殴り続けている1人の現地人の元へ向かう。
「破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊破壊」
「わあ!イカれてるよ!イベント名からして、恐らく洗脳されてるね」
「頭おかしいデース」
他の現地人も同じようなことを呟いていたため、イサの現地人はほとんどが洗脳されていることが判明した。
「さて、とりあえず調薬していこうか!」
「キングのためにも頑張りマース!」
「おぉ!これで完成かな?」
「ミーはベリー疲れちゃいましたデース」
2人が作り出したのは、色が紫色という本当に良薬なのか疑いたくなるポーション。男性のセリフが少しおかしいが、外国人(仮)なので仕方ないだろう。
「まさか素材が『痺れ草』『
「ユーは素材がロストしましたがダイジョーブ?」
『痺れ草』は誰でも採取できるが『虚無水』と『カメレオン液』は、彼女の持ち物だったため、白衣の男性は心配しているようだ。
「ノープロブレム!早く治してあげよ!」
そう言って、1人の現地人にポーションを投げる。飲ますのは無理だと判断したのだろうが、もう少しいい方法を思いつくことは可能では?
「破壊破壊破壊h·····あれ?」
投げてポーションを浴びせても効果はあるらしく、2人も喜んでいる。
それから、ポーションを投げる男女が少し噂になったとのことだ。
そしてその噂が広まるのと同時刻に、もう1つ噂が。
曰く、聖女が誕生した────────と。
その事の発端は、手紙と木箱。
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