閑話 ポポ&運営チーム&If




sideポポ



もうダメだと思った。私はあいつに勝てない。諦めよう。


戦う姿勢は見せていたけど、内心そんな気持ちでいっぱいだった。


だけど突然誰かがあいつの目を攻撃したの。ビックリしたわ。


誰?上を見上げると黒い影が1つ。チャンスだわ!


そう思ったけど足が動かなかった。もう限界だったの。


私が絶望していると後方から足音が聞こえた。


振り返るとそこには噂になっていた獣人や鬼人が来てたわ。


紫髪の兎人は人参ハンマーを振り回してる。正直怖かった。


すると冬が好きそうな女の子が私に向かって言う。


「よく頑張ったのだ!私たちも倒しに来たのだ!」


そして密かにライバル視していた鬼人も。


「お疲れ様ネ!あとは私に任せるアル!」


本当は私も一緒に戦いたかった。でも身体はもう動かない。


とても悔しかったわ···戦力外通告を受けた感じかしら。


そこからの展開は圧巻としか言いようがなかった。


それを私は切り株に座って見るだけ。




もう少し!あと4割弱よ!私はあいつを倒す未来が想像できた。


あいつは棍棒を乱暴に振り回してる。あれは万策尽きてるわね。


そしてあいつのゲージが3割を切ったときだったわ。


私は黒い波動の視認を最後にフェードアウトした。











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side運営チーム



「先輩、スキルの申請が来ました。どうしますか?」


「とりあえず私の方に送っておいてくれる?確認するから」


私は部下に指示する。どんなスキルなのか楽しみだわ。


「祝福者と·····ふふ、彼らしいわね」


私は社長ではないけどそれなりの権限はあると自負してるわ。


彼がこの効果を求めるなら、私は頑張って上と掛け合うつもり。


「先輩楽しそうですね」


部下の子がそう言ってくる。顔に出ちゃってたわ。


「ええ、あなたも彼の行動には興味津々じゃない」


「そうですね。見ていて楽しいです」


全プレイヤーの行動を確認できるのはこの仕事のいい点よね。


中でも彼はいい。これからもっと強くなって欲しいわ。


でも運営が1プレイヤーに肩入れするのは本当は良くないの。


そこの線引きはキッチリしないといけないわ。


「先輩、もしかして彼のこと好きですか?」


「ばっ!そ、そんなわけななないじゃない!」


た、確かに顔はいいと思うわよ?優しい人だなーとも。


でもそれが恋心かと言われれば違う。···と思いたいわ。


「ならそういうことにしときますね」


むぅ、なんかイライラするんだけど。


「あなたの給料減らしとくわね」


「うぇ!?待ってくださいよー」











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朝、ステンドグラスから射し込む光で目が覚めた。


寝ぼけ眼の状態で彼を見る。うん、かっこいい。


そんな彼の無防備な背中に抱きつこうとした。出来なかったけど。


「何しようとしてたんだ?悪さしないように逮捕するぞ?」


起きていたのだろう。彼が私を抱きしめてきたからだ。


今の私の顔は真っ赤だと思う。体が火照ってるのが分かる。


彼は座った状態で向き合い、更にぎゅっと強く抱きしめた。


私は彼の大きな背中が好きだけど、胸板も悪くない。



彼はしばらく私を抱きしめたあと、顔を離し、私と目を合わせる。


それから私の髪の毛を生え際から優しく撫でる。あぁ、蕩けちゃう。


彼は釈放と言いながら私の背中に回していた手を離した。


そして私を軽く押す。たったそれだけ。


でも私は簡単に倒れてしまう。シーツの香りが鼻孔をくすぐる。


これからのことを考え、つい期待するような目で彼を見る。


「はは、お前はいつも黙秘権を行使してるからな」


それからはもうすごk


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「おーい、気持ちよさそうに寝てるとこすまんが起きてくれ」


夢だったの···。残念。









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