EX第9話 平成大学学園祭

※カクヨムコン中間選考突破記念の短編第五弾です、時系列的には第54話「日常の一コマ」と第55話「プレゼント探し」の間の話です。


 11月に入った今日、俺は実乃里と平成大学の学園祭、平大祭に来ている。

 お互いに就活や公務員試験講座でバタバタしていて予定が合わなかったため関係で、残念ながら今年は西洋大学の学園祭に参加できていなかった。

 だが平大祭の2日目の土曜日である今日はちょうど2人とも予定が空いていて参加する事にしたのだ。


「平成大学に来るのは今日が初めてだけど、やっぱり西洋大学とは全然違うな」


「総合大学の西洋大学と違ってうちは学部によってキャンパスが複数箇所に別れてるからね」


 ちなみに今いるキャンパスは経済学部と文学部、外国語学部、工学部、情報理工学部、薬学部の生徒が通っているらしい。

 そんな話を2人でしながら俺と実乃里は学内をゆっくりと歩き回る。

 俺1人だとガイドブックがあっても迷子になってしまう可能性もあったが、在学生の実乃里がいる時点で迷うことなど一切無い。


「……それにしても、やっぱり平成大学もゲストを呼んでるんだな」


「だね、今年はお笑い芸人と人気俳優、声優なんかがゲストとして呼ばれてるらしいよ」


 スマホで平大祭のホームページを見ていた俺がそうつぶやくと、実乃里はそう答えてくれた。

 去年実乃里と西洋大学の学園祭に参加した時は声優のトークショーに参加したわけだが、平成大学も負けず劣らず豪華なゲストを呼んでいるようだ。

 それからキャンパス内のあちこちを巡って色々なイベントに参加しているうちにあっという間にお昼前になった。

 お化け屋敷から出た俺達は昼食をとるために屋台の密集したエリアに向かって歩き始める。


「……お化け屋敷、結構本格的で怖かったね」


「確かにめちゃくちゃクオリティが高かったと思う」


 実際にお化け屋敷は素人が作ったとは思えないくらいよく出来ており、アドベンチャーランドのお化け屋敷並みに実乃里は怖がっていた。


「それでお昼ご飯はどうする?」


「紫帆からたこ焼きの引換券を貰ったし、とりあえずそれを食べない?」


 紫帆が所属する剣道サークルはたこ焼きを売る事になったようで、平成大学の学園祭に参加すると言ったらくれたのだ。


「賛成、そうしよう」


「オッケー、じゃあ屋台を探そうか」


 俺達はパンフレットを見ながら剣道サークルの屋台を探し始める。


「あった……そこそこ人が並んでるな」


「本当だ、結構人気みたいだね」


 屋台にはそこそこの長さの列ができており、順番待ちをする必要がありそうだ。


「じゃあ並んでくるから待っててくれ」


「あっ、なら私は春樹の分も含めて適当に飲み物を買いに行ってくるね。買い終わったらそこのベンチで待ってるよ」


 実乃里と一旦別れ、俺は屋台の順番待ち列に並ぶ。

 少しの間待っていると列はどんどん進んでいき、いよいよ俺の番となる。

 

「あっ、来てくれたんだ」


「なんだ、紫帆が店番やってたのか。せっかく引換券を貰ったんだから来るよ、実乃里と一緒に食べるつもりだ」


 なんと店番をやっていたのは偶然にも紫帆だったのだ。

 紫帆がいるとは知らなかったわけだが、たまたまシフトの時間に俺は来たらしい。


「そうなんだ。実乃里さんと仲良くね」


「紫帆も店番頑張れよ」


 たこ焼きを受け取り別れを告げて列から離れていっていると、後ろから紫帆と誰かの話す声が聞こえてきた。

 多分俺の後ろに紫帆の友達が並んでいたのではないだろうか。

 そんな事を考えながら実乃里の待つベンチへと向かって歩き出す。


「お待たせ、じゃあ食べようか」


「うん、いただきます」


 ベンチに腰掛けた俺達は2人でたこ焼きを一緒に食べ始める。


「この後はどうしよう? 私的には15時からある声優のトークショーに参加したいんだけど」


 今回ゲストとして来る声優は今期のアニメで主役キャラを複数演じているため、俺的にも是非見にいきたい。


「俺もトークショーに参加するのは賛成。それとピロティ野外ステージで13時30分から吹奏楽部が演奏するっぽいし、それも見にいきたいな」


「吹奏楽部の演奏か、確かにそれも楽しそうだね。じゃあご飯を食べ終わったらまずはピロティに行こう」


 ひとまずこの後の予定が決定した俺達は雑談をしながらたこ焼きを食べ、しばらくしてから完食した。

 そしてちょうどピロティ野外ステージに移動したタイミングで13時30分となり、吹奏楽部の演奏が始まる。

 演奏曲は今流行りのJ-POPや洋楽などからアニソンまでとかなり幅広く、聞いているだけでかなり楽しめた。


「じゃあ次はいよいよトークショーだね、楽しみだな」


「絶対人がめちゃくちゃ多いよな」


 トークショーの会場である大教室棟に近づくと俺の予想通り長蛇の列ができており、周辺は人で溢れかえっていたのだ。

 そのため本当に会場の中へ入れるか2人で心配していたが、無事に中へ入る事ができた。

 トークショーは1時間程度ではあったが、質問コーナーや朗読などを聞く事が出来たので、時間はあっという間に過ぎ去ってしまう。


「やっぱり声優は凄いね」


「ああ、よく何キャラも同時に演じ分けとかできるよな。絶対素人には無理だ」


 俺も実乃里も大満足であり、興奮気味にそんな話をしていた。


「はしゃいでたらお腹が減ってきちゃったし、屋台で何か食べない?」


「ちょうど甘い物が欲しい気分だったし、そうしよう」


 大教室棟を出た俺達は再び屋台を目指して2人で歩き始める。

 結局、俺達は夕方になるまで2人で平大祭を満喫するのだった。


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これにてカクヨムコン中間選考突破記念の外伝は終了となります。最後に本作が面白かったと思えば★で評価をいただければと思います。


また、今連載中の新作

『彼女がいない事をからかってくるツンデレ美少女な従姉妹だが、俺が前よりカッコ良くなってモテ始めた途端明らかに焦り始めてベタベタしてくるようになった件』

https://kakuyomu.jp/works/16816927862670945256

は本作と同じ世界線になっていて、春樹や実乃里が登場予定、紫帆は既に準レギュラーキャラクターの1人として作中に登場しています。

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【完結】浮気されて始まる、冴えない俺の人生成り上がり譚 水島紗鳥@今どきギャルコミカライズ決定 @Ash3104

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