お~し、第一段階はまずまず順調にいったかな~
過剰に施肥されないようにするには、取り敢えず堆肥の供給を制限するという形で行うのがいいと思う。幸い、この町の住人全員のウンチを堆肥化して、周囲の農家全部に供給したとしてもおそらく過剰にはならないレベルだしさ。
ただ、もっと大きな<街>になってくると、特に王様のお城がある首都とかだと、それを取り囲む農地に比べて人口がかなり多くなる。そうなると供給過多になる可能性が出てくる。
逆に、町からも離れたところにある農地には必要な堆肥が全く足りないという事態もありうる。
なので、首都とかでウンチを堆肥化するに当たっては、堆肥を僻地にある農地に供給するという手順が必要になるだろう。
でも、この町以外のところでそれを行うには、アウラクレアの顔だけでは力不足だった。この町の人達は、魔法使いだったネローシェシカの娘だっていうことも手伝って彼女のことをよく知ってるけど、他の町、ましてや首都とかってことになるとまったく手掛かりさえない状態だ。
もっとも、今はまだそこまで考える必要はない。とにかくこの町をモデルケースにして、ウンチの堆肥化とそれを活かした農地の改良がまずは先決だ。
という訳で、アウラクレアの力で町長も『たらしこんで』、住人にウンチの堆肥化に協力してもらえるように働きかけてもらうことになった。
町長のマイトバッハは、ネローシェシカの恩師でもあった元学校の先生で、この町の大人達の多くは大なり小なり彼の授業を受けたことがあったことも幸いして、呼び掛けには割とすんなりと応じてもらえることになった。
この辺りも、あまり大きすぎない町だったこともあり、人の繋がりも十分にあったのがいい具合に作用してくれた。
だから、『アウラクレアが町長をたらしこんだ』という言い方は少々悪意に等しい脚色だったかな。彼は単純に、教え子であるネローシェシカの娘の頼みで、それが町の利益に繋がるのならということで協力してくれただけだし。
もちろん、堆肥の効能についてもバンクハンマの畑での実験の成果を見て確認してもらった上での交渉だったけど。
そしてこの時、堆肥を農地に運ぶ労働力として、私は、連絡の取れた奴隷商人達から売れ残りの奴隷をすべて引き取った。その数、十七人。
ネローシェシカの家の近くの老朽化して住む人もいなかった空き家を安く買い取り、それを奴隷達自身に修繕してもらってそこを彼女らの住居にした。そして、奴隷達のリーダーにはリレを充てた。
本来は七人程度の家族が住んでた住宅だったからそこにリレを含めた十八人を住まわせるのは少々酷だったかもしれないけど、あまり奴隷に厚遇を与えるとそれはそれで反発も招きかねないから、その辺りの匙加減も難しいのよね~。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます