(二)-21

「それにしても社長はなんでそんなことを」

「色々事情がありまして」

「それで自社の現金輸送車を襲い、保険金詐欺をしようと?」

「そういうことです」

「それで、何故私の所へきた。裁判での弁護を依頼しに来たようには思えんのだが。警察対応か?」

「いえ。私はあなたが金を持っていると考えています」

「どうして?」

「社長に、保険金詐欺のこと吹き込んだのは、あなたですよね」

 弁護士は車を停めた。そして一呼吸の間を置いて、「何を言っている」と豊永の方を見た。


(続く)

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