第92話 ライールさんチョロい
「ライールさん、これ少ないですが……」
にゃんて言ってシンイーさんがライールさんに封筒を渡してる。
「いや、こんな物貰う訳には……」
「と言っても
必要経費も掛かってるでしょう」
「それはまぁ……
……宿の前払い金は俺の貴重な小遣い……
いえ、何でも有りません。
ホルムスで暮らす間の食費はお嬢さんが自分で働いて稼いでます。
経費なんて何も掛かってませんよ」
と少女たちの分かれとはまた違った大人の会話ね。
「そうですか……では」
とシンイーさんは封筒を引っ込める。
「アレ。
……止めちゃうの……
……そこはもう一押ししてくれれば、『では断るのも失礼ですかね』と受け取るつもりだったのにな……
……俺の小遣い……
とほほほーい」
「オジさん、これ持ってってネ」
そんなライールさんにファオランさんが荷箱を渡すわ。
商店の人たちが数人がかりで運んできたの。
「……お?……
何かくれるのか。
ファオランさんは気が付く良いお嬢さんだな」
ずっしり重たい荷箱。
ライールさんでも持ちきれにゃい。
「後、コレ」
と紙をファオランさんは取り出す。
「なんだ、これ?」
「槍の請求書よ。
ナシール副団長に渡してね。
世話になったお礼込みでダイブお安い価格にしてるのヨ」
「……てコトはこれ中身は槍なのか。
俺が護衛団に届けるのか?
ヤだよ、重いじゃないか」
「あの小型船で届けるのヨ。
へーき平気。
モチロン船まではウチの若いのに手伝わせるネ」
「なんで俺がそんなコトしなくちゃイケナイんだ?」
お断りだ、と顔に書いてあるライールさん。
シンイーさんが進み出るの
「ゴメンなさい。
ファオランがタイヘンな事を頼んでしまって。
……でもライールさんのようなベテランの
シンイーさんが上目使いでライールさんを見つめるの。
目立たないカンジにゃんだけど、よく見ると美人のお姉さん。
今日は少し胸元の開いた服装にゃの。
あの角度だと……ライールさんからは胸の谷間が良く見えてるんじゃにゃいかしら。
「ライールさん……お願いできないですか?」
「……あ……いや、お安い御用ですよ。
俺だって
これ位の荷物、軽いモンです」
「ありがとうございます。
サスガですわ」
チラっとシンイーさんを見て、目を逸らして。
またシンイーさんに視線が引き寄せられてるライールさん。
オトコの人よね……
シンイーさんは隠れてファオランさんにVサインを出してるの。
ファオランさんはニヤっと笑ってる。
「サッスガ! シンイー。
勉強になるネ。
あの技はワタシにはまだマネ出来ないネ」
にゃんて口のにゃかでつぶやいてるわ。
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