その5 帰路
第91話 別れ
「うっうううう……
ファオランさん……元気でいてね」
「泣かないで、エステルちゃん。
ワタシも寂しいネ。
つられて泣いチャイそうヨ」
「なんで二人とも泣いてんのよ」
「ステュティラちゃん、ファオランさんはチャイニャの人なんだよ。
別れたら、もう二度と逢えないかもしれないんだよ」
「エエッ!
そうなの」
少女たちのお別れね。
わたしたちはエスファハーンへ、ファオランさんを送りに来ただけ。
今日には
移動に半日近くかかるから、早いうちにエスファハーンを出るの。
「だったら、アンタ帰りもホルムスに寄って行きなさいよ。
そうすれば又逢えるじゃない」
「ワタシもそうシタイけど……
商会のみんなの都合も有るカラ、遠回りは出来ナイノ」
「ファオランさん~~」
「ファオラン」
とエステルちゃん、ステュティラちゃんが抱き着いて、ファオランさんも受け止めてる。
「ダイジョウブ。
二度と逢えないナンテ事無い。
ペルーニャには商会の販路広げるノ。
必ずホルムスにもまた来るヨ」
「本当ですか?」
「ホントなのね。
ウソだったら承知しないわよ」
にゃんて言ってるステュティラちゃんも涙目ね。
虎タルさんはわたしにはにゃしかける。
「みゃーのアネさん。
やっとホルムスに帰るんですかい。
ここはにゃれねーや。
とっとと行くとしみゃしょう」
その後ろにはリリーちゃん。
にゃぜか虎タルさんの後を着いて行こうとしてるわね。
状況を分かってるのかしら。
「ええーーーーっ!!
うっそーーー??
虎タルとお別れにゃの。
にゃんで、にゃんで。
虎タルも一緒に行こうよ」
「リリー、俺はホルムスの街ネコにゃんだみゃ。
旅ネコじゃにゃいのさ。
おいらには街ネコどもの面倒をみにゃきゃいけにゃい責任ってのが有るんだみゃ。
オマエはオマエの家族と一緒に幸せににゃるんだみゃ」
にゃんだか虎タルさん、少しカッコつけてにゃいかしら。
そんにゃ虎タルさんにリリーちゃんが縋り付く。
「虎タル~~。
やっぱりカッコ良いわ。
さようにゃら、ワタシの初恋!」
うーん。
人間の少女たちも、ネコたちも。
別れに酔ってにゃいかしら。
人生って出会って、別れて、又出会って、繰り返すもの。
それに……もしかしたら又すぐ逢う事ににゃるのかも。
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