第70話 火打石
「皇子、その肩の物は一体?」
「わ……分からない……
あの黒い宝石。
あの黒い光を見たらいきなり、肩から熱いものが動き出して……」
皇子と呼ばれてる少年は答えてる。
肩がどうにゃってるのかはよく分からにゃい。
だって、少年はマントを着てるの。
その両肩から蠢くモノ。
シルエットを見ると蛇の様。
細にゃがい物体がウネウネと動いてる。
わたしはパピルザクとの戦いを忘れちゃって、少年に見入るわ。
アラッ?
にゃにか今……
周囲は月だけが照らす暗闇。
わたしの猫の目でもあまりハッキリとは見えにゃいのだけど。
わたしに着いてるのは目だけじゃにゃい。
三角のおミミはピコピコ動いて音を聞きとるし、おヒゲだってヒクヒクして空間の動きを察知するのよ。
それは闇のにゃかにいる人影。
夜の河原の暗がりをにゃにかが動いている。
わたしだって、おヒゲのセンサーがにゃければ気付かにゃかったかもしれにゃい。
一人の兵士が槍を構えるの。
目つきは鋭く、今にも武器を振るう仕草。
「キサマ、皇子に向かって槍を向けるとは!」
「違う!
今、変な気配を感じたんだ!」
皇子に手を貸していた男は辺りを見回すけど。
彼では気づく事は出来にゃいの。
先の河のにゃかでさかにゃが跳ねる。
「タダの川魚だ」
「そんなんじゃねえ」
槍を構える兵士は懐からにゃにか取り出す。
「こいつは
金属とこすり合わせると火花が出やすいんだ」
言いにゃがら、槍の先端金属部に石を素早く当てる。
硬質な音が辺りに響いて、確かに暗闇に赤く火花が飛び散るわ。
器用にゃモノね。
聞いていた皇子の護衛役もサっと反応する。
薄い布を差し出していた。
火花が布に引火して、赤い炎を上げる。
暗闇を赤い火が照らすわ。
言っておくけどわたしってばその間もパピルザクを倒しているのよ。
人間サソリの
「うわぁーーー!!」
「なんだ、こいつら?!
どこから湧いて出た」
それは真っ黒なマントを着た人影。
闇に紛れて、兵士たちに気付かれる事にゃくすぐ近くまで忍び寄っていた。
「こいつら……
なんてこった。
皇帝を
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