第46話 アッラーヴェルディーハーン

大きな橋は近づいてみると相当キレイ。

石で出来ていて、途中の門は壁画で飾られてる。

凱旋門とかそんにゃ雰囲気。

エラティさんはこちらが本来の街の入り口と言っていたわね。


わたしたちは河を下って、船着き場から街に入って来た。

アレってばお勝手口とか裏口みたいにゃモノだったのかしら。


このエスファハーンは夏の間だけとは言え、皇帝の住むところ。

この大きな建造物である橋を通ってきて、飾られた門を見たにゃらば。

やって来た人たちは、これがペルーニャ帝国の都! と感じ入りそうだわ。



「分かった。

 これがアッラーヴェルディーハーンだ」


エステルちゃんが声を上げるの。


「ああ、そんなカンジの名前だったかな」


「なんですって?

 ウェルディハム……」


「アッラーヴェルディーハーンだよ、ステュティラちゃん。

 大きな橋だって、本で読んだ事が有るけど、実物はこんなに大きかったんだ」


そうね。

橋は大きい。

人間が何人も通れるのは勿論。

大型トラックだって、往復3車線分くらいは余裕で有りそう。

レインボーブリッジより大きいわね。


そんな橋の見える大通りを横目にエラティさんは進んでいく。


「まだなの。

 エラちー」


「ステュティラちゃん!

 相手は隊長さんだってば。

 ……馴れ馴れし過ぎて、ワタシまでイラっとするよ……」



「もうすぐ。

 ホラそこがもう入り口」


エラティ隊長は言う。


彼が指差すのは公園のような広場。

奥に向かって広がっていて、人がたくさん。


市場と言っていたわね。

フリーマーケットの巨大版みたいにゃカンジかしら。


地面に敷物を引いて商品を並べる露天商。

軽食や飲料を売ってる屋台。

人数で支柱を立てテントを造る大型の売り場に一人でやってる売り子さんまで色んな人たちが居るわ。


お祭り状態。

確かにそんな雰囲気かも。


こっちの方に来ると人種もさまざま。

チャイニャやミャンゴールの人もいるし。

この砂の国の人よりも黒い肌の南方から来る人らしいわ。

ライールさんみたいな白い肌の人もいるけど、割合は少にゃいみたい。


さっきのお金持ちの場所が銀座とするにゃらば、この辺は上野のアメ横みたいにゃ雰囲気かしらね。



「いやっ!

 なに、アレ」


エステルちゃんが口のにゃかで小さにゃ悲鳴をあげる。


にゃににゃに?!

どーしたの、エステルちゃん?!

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