第36話 ピョンピョンしてる白猫

さて、砂海の小型船ニャビールジャエヒが荒野の上を進みだして既に2時間以上は立っているかしら。


現在はライールさんが舵を取っている。

30分毎くらいにエステルちゃんと交替してるの。


「よし、順調だな。

 あと一時間もしないで大河ザーヤンテに着くだろう」


「うん、分かった。

 みんな~、後一時間足らずでザーヤンテ川だって」


エステルちゃんが客室キャビンに入って来る。



「やっと~

 もう疲れちゃった」


そう答えるステュティラちゃんはにゃんにもしてにゃいのよ。

椅子に寝そべってだらしにゃい恰好。

お洋服がまくれ上がって、オヘソが見えてるわ。

おんにゃの子にゃんだから気を付けにゃさいってば。



「オッケー、ご苦労サマ」


ファオランさんは運動中。

大きく呼吸をしにゃがら、手で円を描くようにゃ動作。

ジャッ〇ー・チェ〇とかそんにゃカンジ。

中国拳法とか、功夫カンフーとか呼ばれるヤツかしら。


白猫ちゃんがその足元でピョンピョンしてる。

リリーちゃんたら、ファオランさんが遊んでくれてると思ってるのかしら。

ファオランさんをマネするようにゃ動作。

そうしてるとリリーちゃん、カワイイわ。



「……うーーん。

 着いたの?」


「あっ……起こしちゃいましたか。

 エラティさん、ゴメンなさい。

 まだです。

 あと一時間弱でザーヤンテです」


別の椅子で寝息を立ててたエラティ隊長は目を覚ます。

ちにゃみにわたしもエラティ隊長の横で寝てたのよ。


「もうザーヤンテ?

 はっやいなー。

 昔来た事あるけど、馬車旅だったら丸一日はかかったハズだよ」


「はい。

 小型ですけど、こんなんでも砂海の小型船ニャビールジャエヒですし。

 一応ウチの父もあんなんでもベテランの砂船乗りシンドバットですから……」


そう答えるエステルちゃんの顔は少し自慢げ。


へー。

馬車だと1日かかるトコロをこの陸上を走る船だと2~3時間で着けるのね。

大したものね。

新幹線みたい。



「………………」


もう一人、客室キャビンには人がいるの。

部屋の隅のほうで小さくにゃってる人。


体格は鍛えてる男の人。

髪を短く刈り上げて、スポーツマン風で爽やかに見える。

だけど。

容貌のフンイキとは違って、落ち着かにゃげに少し震えてるの。


「イルファンさん。

 何震えてるの」


「……拙者は素顔を晒すのに慣れていないのだ。

 もう到着なら、顔を隠してもよかろう」


そう大人の男の人にゃのに、少し怯えた風情で小さくにゃってるのは。

イルファン隊長にゃの。

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