第34話 吹き矢
「なにかしら?
今甲板になんか飛んで来たわよ」
「武器みたいだよ。
アブないから近付かない方が良いよ、ステュティラちゃん」
「イヤな臭いスル。
捨てた方がイイ」
そんにゃ声が聞こえる。
ステュティラちゃん、エステルちゃん、ファオランさんね。
わたしは船の下で集まって来るしつこいサソリの
「……ふむ、これは吹き矢だな」
ええっ?!
これ誰の声かしら。
大人の男の人だけど、ライールさんじゃない。
エラティ隊長でもにゃいわ。
「ええっ?」
「イルファン隊長?!」
「何でココニイル?」
「ああ、任務でな。
エスファハーンの方に行く用事が有って、同乗させて貰った。
挨拶もせずすまない」
イルファン隊長?
黒ずくめの密偵さん。
何時の間に船の中にいたの。
「ぜんっぜん気が付かなかったわよ」
「そんな勝手に人の船に……」
「何時からいたノネ?」
「キミらが船に乗る最初からいた。
しかし……断りもしなかったのは申し訳ない。
気配を出すのに慣れていなくてな。
つい忍び込んでしまう。
クセなんだ。
自分でも大人としてどうだろう……とは思っている。
反省せねばなるまい」
「相変わらずだねー。
イルファンさん」
そんにゃエラティ隊長のセリフでこーゆー人にゃのねと分かってしまうわ。
非常識にゃ人だわ、イルファンさん。
「それで、吹き矢って?」
「ああ、砂漠の
この臭いは多分腐った果物とかだろう。
この臭いがおそらくパピルザクを引き付けている」
わたしはその間もパピルザク相手に奮闘してるの。
群がる
大暴れしにゃがら
イルファン隊長が船の後方に歩いて行く音がして、吹き矢にくっついてたイヤなニオイの袋を外へ大きくにゃげ出した。
船を追って細長い肢で走っていた無数のパピルザク。
気持ち悪いサソリの
ピタリと肢を止めて。
今度は投げ出された袋の方を追って行くの。
ニオイのする袋に引かれていったのね。
ああああ! 気持ち悪かった。
けどこれでオシマイね。
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