第12話 スパイ

「イルファン隊長?!」


トーヤーさんは驚いている。


ステュティラちゃんは首をかしげてる。


「……イルファン、それ誰?」

「ステュティラちゃん、3番隊の隊長さんのお名前だよ。

 イルファン隊長、バゼル先生が言ってたじゃない。

 あたしも見るのは初めてだけど」


「そうなの、アレシュ?」

「……知らない……」


「アレシュ先輩……?

 あたしたちは新入りですけど、先輩まで知らないってどう言う事です」


そんな事は知らぬげに黒服のイルファンさんは泥棒に話しかけてる。


「・・・・・〇〇・・・××・・・」

「〇〇!・・・・・〇×△!・・・」


言葉が通じてるんだ。

話が通じるのが嬉しかったのかしら。

盗人少女はしきりにはにゃしているわ。



「へー、イルファン隊長、チャイニャ語が出来るんですね」

「……うん。

 イルファンさんは護衛団でも会った事のある人は少なくて。

 いつもいろんな国に諜報活動に行っているって言うんだ」


「……諜報活動……?」

「スパイ、密偵?

 そんなカンジかな。

 潜入調査をするために顔も隠していて、あまり姿を現さない。

 って言う話なんだ。

 ベテランの人でも黒い服を着てるって位しか知らない。

 俺も見たのは初めてさ」


「スパイ?!

 密偵?!

 なーに、なんかちょっとカッコ良くない?」


スパイ……?

確かにイルファンさん、黒い布で顔まで隠していて面相は分からにゃいけど。

目だたにゃいにゃんてコトはにゃいわよ。

真っ黒にゃ服で通りを歩いているだけで目立つでしょう。

ああ、でも少し忍者っぽくはあるわね。



「そこの男たち!

 何処へ行こうとしている?」


険しい声を出したのはイルファンさん。

見ると泥棒を追っかけて来た男たちはそろそろと護衛団のみんにゃから離れようとしている。

どう言うコトかしら。



「逃がすな、トーヤー隊長、アレシュ!」


そんな黒ずくめの男の言葉でトーヤーさんは駆けだす。

アレシュ青年は慌てにゃがら後を追うけど、全然追いつけていにゃい。


青い服のトーヤーさんは逃げ出す男の足元を狙って、身体を滑らせるようにキック。

スライディングね。

男がキレイにひっくり返るの。

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