河で遊ぶ黒猫

その1 泥棒少女?

第1話 女王猫

わたしはお散歩してるの。

黒猫のわたし、細い尻尾を振りにゃがら港町を歩いてるのよ。


路地裏にはたくさんの猫たちが住んでいて、わたしを見ると挨拶してくれる。


「オウィッス! みゃー様、オウィッス!」

体育会系にゃのかしら。

身体の大きい茶猫がわたしに頭を下げる。


「みゃー様、スッテキー!」

「みゃー様、カッワイー!」

女性の猫たちね。

わたしより年上にゃんだけど、最近やけにチヤホヤしてる気がするわ。

わたしがお母さんネコにトリニクを上げたのが評判ににゃってるのかしら。

アナタたちにお肉を分けてあげる予定はにゃいんだけど。



「……フッ、アニャタがみゃーって娘ね」


にゃんだか白い猫がわたしの前に現れるわ。

キレイにゃ雌猫。

あまり見たコトのにゃい娘ね。

こんにゃに毛並みがキレイってコトは……誰かに飼われてる家ネコよね。


彼女はわたしに指を突き付けた。

違うわね。

左のにくきゅうを突き付けた。


「アニャタ、街の女王猫の座をかけて私と勝負シニャさい!」



わたしは突きつけられたにくきゅうをサッと避けて、その場を歩き去る。


「ちょ、ちょっと何処行くのよ?」


「見れば分かるでしょ。

 お散歩の途中にゃの。

 あと、わたし女王にゃんかじゃにゃいからね」


まー、わたしのコトを猫の女王って言いふらしてる猫はいるわね。


 

「逃がさニャイわよー」


白猫ちゃんはわたしを追ってくる。


わたしは建物の壁をよじ登って上の方へ。


封印解除ステータスオープン

【跳躍力強化】

【気配遮断】


わたしは軽ーくジャンプ。

建物の上を歩いて行くわ。


「待ちニャサーイ」


まだ声は聞こえるけど、わたしが何処にいるかは見つけられていにゃいわね。

このまま、撒いてしまいましょう。



屋根を歩いて行くと、お日様がキツイわね。

今は午後の熱い時間帯。

もう季節は秋も近い。

真にゃつほどの気温じゃにゃいけれど、ここはみにゃと街。

砂海ニャビールから太陽光線が反射して、街は熱くにゃるの。


だから日陰の路地裏を歩いてたのににゃー。

そろそろ、あの白猫も着いてこれにゃくにゃったでしょう。

下に降りようかしら。


そろそろ街の中心地帯、繁華街ね。

わたしは建物の上から通りを見下ろす。


色とりどりのターバンを巻いた人達。

中には薄い透ける生地を頭に着けてる人もいる。

ターバンと呼ぶよりはスカーフね。


一昔前は、女性は髪の毛や肌を他人に見せてはいけにゃい、にゃんて言われていて。

家から外出する時は、黒いヘジャブと呼ばれる布で頭を覆い隠さにゃきゃいけにゃかったらしいわ。

現在は男女平等の世のにゃか。

そんにゃの着けてる人は滅多にいにゃい


あら、にゃにかしら。

真っ黒な服装、真っ黒な布で顔を隠してる人がいるわ。

建物の塀にピッタリ身を寄せてる。

隠れてるつもりにゃのかしら。

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