第76話 ニャーヒード様の泉

デカイ河馬の魔物ダェーヴァ、タウエレトの襲撃。

驚きつつ対抗しようとする戦士たち。

そこにいきなり、青い羽根の魔物が降って来る。


タウエレトが巨大な口を開く。

その鼻先にアンズーが上空から落っこちて来た。


「なんだ、なんだ?

 なんだーーー!!」


「何が降って来たのかと思ったら、

 アンズーじゃないか!」


「アンズーとタウエレトの縄張り争いか?」


さすがに腕利き揃いの一番隊の人たちも呆然としてるわね。

わたしはこの隙にアンズーの背にゃかから、その辺の草むらへ隠れましょ。


「いいから、トドメを刺せ」


「そうだ、チャンスだ」


戦士たちが剣を持って近付く。

アンズーは落っこちた時にどこか痛めたのか。

地面に着いて、翼をバタバタともがいている。

剣を持った人が剣先を前方に、距離を取って刺していく。



タウエレトの方は鼻先をやられた。

目がチャンと見えにゃいのかしら。

湿地帯の泥を跳ね散らかさせ暴れる。


VVVOOOOOWWWWW!!


吠えにゃがらジタバタと暴れ狂うの。

にゃんせ巨大なカバの魔物。


うかつに近づいたらぶっ飛ばされちゃいそうね。


「クソッ、とても近づけないぜ」


「矢だ、矢で狙え」


「背中は固い。

 頭部や口を狙うんだ」



タウエレトは大きにゃ口を開けて、吠えている。

その口のにゃかに弓矢が打ちこまれるの。


もう時間の問題ね。


後は一番隊の人やエラティ隊長に任せて、わたしは泉の方へ進もうかしら。

もう少し先には水面が広がっているの。


割と広い泉ね。

井の頭公園よりも広いんじゃにゃいかしら。


水面は青く澄んで美しい。

現在わたしが立ってる草むらの近くは沼もある。

泥で濁って、湿地帯と混然一体。

あまりキレイな場所とは言えにゃいのだけど。


その先には青い水面が広がる。

視界の先には泉が終わって対岸が見えている。

その対岸も木々が生い茂って、水面に緑が映えているの。


ここがニャーヒード様の泉と呼ばれるトコロね。


スゴク奇麗。

キレイにゃんだけど、わたしの背筋には冷たいものが走り抜ける。

森に入った時から感じていた黒い瘴気。


にゃにか嫌にゃ気配。

そのイヤにゃモノが間違いなく近くにいる。

おそらくはこの泉のにゃかに。


と、思って見ていると泉の表面に泡が立ち昇る。

水面が割れてにゃにかが姿を表すの。


にゃにあれ?

にゃにあれ、にゃにあれーーっ?!

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