第64話 処置無しの男

「ええっ、本当ですか?!

 サイラスさんがトーヤーさんに告白したぁ?!」


「声が大きい!

 聞こえたりしたらサイラスの奴マジギレするぞ」


「告白ってゆーかな。

 要するに口説いたんだよ

 俺の女になれ、ってな」



「そっ、それでそれで?」



口説いた?!

あのサイラスがト-ヤー隊長を?


うーん。

トーヤー隊長、確かに美人な女戦士だからモテルのは分からにゃくはにゃいわね。

その割にはサイラスってオトコ、トーヤーさんを悪く言ってた気がするけど。


アレシュ青年たら興味津々ね。

もちろんわたしも気ににゃっちゃうわ。



「もちろん、撃沈さ。

 トーヤー隊長だからな」


「キッパリ振られてやんの。

 すまないが、私は貴方の顔も名前も覚えて無いな。

 名前も知らない男の方と交際する気は無い、ってみんなの前でキッパリハッキリ」


「同じ男としてさすがに少し可哀そうだったけどよ」


「サイラスの奴、それ以来根に持ってよくトーヤー隊長に絡みやがんの。

 振られたからって、あの性格の悪さじゃな」


「同情してた奴らも、今じゃな。

 そんな性格だから振られたんだろ。

 と言ってオシマイ」


「他の奴らにまで株下げたの気が付いて、

 少しでも取り返したいんだと思うぜ」


「…………

 おおおまああえええらああああ!!!」



アレシュ青年と話してるうちにだんだん小声じゃ無くなっちゃった彼ら。

思いっきり、サイラスに気づかれてるわね。


「ふざけんな。

 誰もトーヤーを口説こうなんてしてねえ。

 俺はあの女が彼氏の一人も居ないみたいだから、哀れんで声かけてやったんだ」


槍を振り回して、ウワサしてた男の人たちを追い回してるわね。 

アレシュ青年が槍の柄の部分でにゃぐられてる。


そんなだから性格悪いって言われるのよ。

処置にゃしね。



アザム団長はそろそろ出発するみたい。


「ケガ人は支援部隊の所に戻って交替して貰え。

 ついでにアンズーの肉も持てるようなら持って行け。

 他の者は進軍するぞ。

 慎重に行けよ」



と、言いながら、アザムさんは右手の大槌を振るう。

3メートルは有りそうにゃ木の棒、先端はハンマー状の金属。

普通の人間が片手で扱えるようなモノじゃにゃいんだけど。

軽く大槌を振っている。


その先には大きな蜂の魔物。

ヴァウーザカね。

ハンマーの一撃で潰されているわ。


「良いか、ヴァウーザカには毒が有るからな。

 くれぐれも気を付けるんだぞ」


そんにゃ一発で倒しておいて、説得力全くにゃいわよ。

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