第53話 赤いターバン
「駄目だよ、ステュティラちゃん。
怒られるよ」
「えーーーっ!
だって護衛団の試験に受かったのよ。
戦士の赤いターバンを巻くモノじゃないの」
エステルちゃんは白いターバンで髪を覆って、余った布を横から垂らしている。
垂らしている部分が明るい赤で染められてて、少しオシャレね。
ヘレーナさんのセンスかしら。
ステュティラちゃんは真っ赤なターバンをヘアバンドかハチマキみたいにキュッと頭に縛って、髪の毛をはみ出させている。
「バゼル先生が言っていたじゃない。
全面真っ赤のターバンは正規の護衛団の人だけ。
わたしたちみたいな見習いは別の色で一部だけ赤い色を混ぜるの」
「えー、これしか持ってきてないわよ」
「白い布あげるわ。
これを上から巻き付けて、半分隠しておくのはどう?」
「さーっすが、エステル。
頼りになるー」
ターバンか。
この砂の国では春夏秋冬以上に、昼間と夜の寒暖差が激しい。
昼間はキツイ陽射しで正午から午後にかけてはホントウにあっついの。
ターバンは薄く頭に巻けば、日中の直射日光避けに使えるわ。
熱を持ってしまうターバンと頭の間に帽子を被るような人もいる。
頭の大きさよりおおきいんじゃにゃいのって言うターバンを巻いてる人。
アレッて全部ターバンにゃのかと思ったら、中に帽子をかぶってその上に更にターバンを巻き付けているの。
そうすると隙間が出来て、涼しいんだって。
そうして夜、太陽が隠れると一気に砂の国は涼しくなる。
ターバンは顔の下半分を覆ってしまえば防寒具としても有用。
巻きつけてるから良く分からないけど、結構な長さにゃの。
マフラーよりにゃがい。
くるくると首筋や、耳を覆ってしまえば思った以上に温かいらしいわ。
ターバンはそれだけじゃなくて、他の役目も有る。
砂漠や砂の海の近くでは細かい砂粒が風で飛んでくる。
ターバンを深く被って、目に入らない為に使う。
街を出たらほとんどの人がしているの。
スグレモノにゃのね。
街を歩けば、おんにゃの人はオシャレな色彩のターバンを巻いてたりする。
街の中では砂粒の被害も少にゃい。
巻き方も自由に変えられるわ。
色んなタイプが有るのよね。
長さも2メートル程度のモノから10メートルも有るようなのまで。
戦士の中にはそんな長いターバンをねじって、頭に幾重にも巻き付けてる人が居る。
確かにあれなら、防具としても使えそうね。
あら見たコトの有るような……
木の上で寝ている少年がいるわ。
あれってば、もしかして。
わたしは目立たない様に塀の上から飛び降りて、トトトっと木に駆け寄る。
木の幹を登ってみれば。
やっぱり。
エラティ隊長じゃにゃいの。
くーくーと寝息を立てて木の枝の上で寝ちゃってる。
集合場所に早めに来て、寝ちゃったのかしら。
わたしは軽く、その顔をつついてみる。
爪を立てちゃわにゃいように、引っ込めて。
肉球でさわるの。
「あれっ
みゃーちゃん?
もう集合時間、起こしてくれたのかな」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます