第43話 オリーブ茶を飲む女神様

わたしのツメ攻撃でノックダウンしたトラ猫。

やり過ぎちゃったかしら。

大丈夫ね。

この猫はボスににゃるだけあってタフにゃの。

すぐ復活するわ。


片目に傷のある灰色猫がはにゃしかけて来る。

ボスの片腕ね。


「アネ……違った。

 みゃーサマ、ひどいですぜにゃ。

 神様の遣いならそうと言っていただけりゃ、最初から絡んだりしませんでしたにゃ。

 これからは天使サマと呼ばせていただきますにゃ」


「これ以上変にゃにゃまえで呼ぶにゃー!」


わたしは灰色猫も引っかいておく。

わたしの怒りのツメを受けて、灰色猫もノックダウンね。


あらっ、この状況を説明してくれるネコがいにゃくにゃっちゃった。



「にゃーっはっはっは。

 にゃーっはっはっはっは」


お家の庭から笑い声が聞こえて来るわ。

この笑い声は……


庭を埋め尽くすようなたくさんのネコたち。

中心に立つ人物にみんな頭を下げて貢ぎ物を差し出してるの。

カツブシやら、生魚にマタタビやらいろいろ。


ネコたちに囲まれて上機嫌に笑っているのは。

小さい女の子。

頭のネコミミがピクピク動く。


ネコ耳幼女神。

バステト様がわたしの家の庭に立っていた。




幼女がわたしの家で勝手にお茶を飲んでいるの。

ヘレーナさんやエステルちゃんと一緒に暮らすわたしのお家。


ヘレーナさんは買い物にお出かけ。

エステルちゃんは護衛団で槍の修練をしているハズにゃの。


いっぱい居たネコたちは追い出したわ。

ヘレーナさんが何時帰って来るか分からにゃい。

こんにゃたくさんのネコたち見たら、ビックリしちゃうわ。



「アタシがヘレーナに説明してあげてもいーのよ」

「止めてください、バステト様」


ヘレーナさんはごく普通の人間の奥さま。

いきにゃり女神様にはにゃしかけられたら卒倒しちゃうわ。

 

「そーお、お茶のお礼してあげよっか、

 とおもったんだけどニャー」


この女神はヘレーナさんのオリーブ茶がお気に入り。


オリーブの樹から取った葉っぱを乾燥してお湯で煮だすお茶にゃんだけど。

ヘレーナさんのお茶は一味違うらしい。

わたしは残念にゃがら猫舌だから飲めにゃいわ。


バステト様に言わせると、傷の無い茶葉を選び、丁寧に焙煎しているのが良いらしい。


この幼女ネコミミ女神はあの新春祭ノウルーズの日以来、たまにわたしのお家に現れるの。

そして勝手に上がり込んでお茶を飲んじゃうの。

今してるみたいに


そうね。

そろそろ新春祭ノウルーズの日、わたしににゃにが起きたのか、キチンと思い出しておこうかしら。

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