その3 女神さまの指令
第42話 アネゴ
わたしは
屋根の上を歩いて、お日様を浴びて。
今度は路地裏の日陰で涼みながらゆっくり歩く。
「アネさん、こんにちはですにゃ」
「見回り、ゴクロー様ですにゃ」
するとその辺のネコたちが挨拶してくるわ。
アネさんじゃないって言ってるでしょ。
わたしはジロっと見てやるとワタワタした。
「バカ、アネさんと呼ぶにゃ。
みゃーさんか、みゃーさまだ」
「すいみゃせん、気を付けやす」
前に驚かしたボス猫とその片腕の灰色猫のせいね。
彼等が街のネコたちに噂を流したの。
「アネさんがこの街のネコの女王にゃ。
そして俺がその右腕にゃ」
「私がアネさんの左腕にゃ」
「アネさんて呼ぶにゃー!」
ヤクザ屋さんの女みたいでしょ。
わたしはみんなの前でボス猫の顔をバリバリと引っかいてやった。
「わたしには『みゃー』って言うステキな名前があるの」
それから街のネコたちみんな挨拶してくるようににゃったの。
「みゃー様」
声をかけられたのでそっちを見ると女性のネコ。
まだ小っちゃい仔猫を抱いてる。
「この間はありがとうございます」
先日のトリ肉のコトね。
ヘレーナさんにトリ肉を貰ったのは良いんだけど。
あまり食べる気のしにゃかったわたしはこの母親ネコにあげたの。
この母ネコはノラのネコさんで、赤んぼを産んだばかりで大変そうだったの。
わたしは近づいて赤ちゃんネコの身体を少しにゃめる。
ご挨拶と毛づくろいね。
赤ちゃんネコは「にゃー」と鳴く。
大きいまん丸の黒目がこっちを見ているの。
きゃーーー。
カッワイイ!
本当に小っちゃかったのに数日で大きくにゃってる。
ネコの成長って早いわー。
「困ったコトが有ったら言ってね。
出来るだけ力ににゃるわ」
「はいっ、みゃー様。
……ホントウにありがとうございます」
わたしは母ネコに言ってその場を去る。
にゃんだか後ろから聞こえる。
「ううっ、みゃーのアネゴ。
なんてカッコイイ」
「一生ついていきやすにゃ」
ついて来なくていいから、お母さんネコを助けてあげてよ。
わたしが家に戻ると。
そこにもネコが溢れていた。
たくさんのネコたち、ノラの三毛、近くの飼い猫、親子猫にカップル猫。
みんにゃわたしの家の庭に集合してるの
にゃんにゃのコレ?
「アネさん」
そこに待っていたのは大きいトラ猫。
元ボスね。
というかわたしボスを引き受けた覚えにゃんかにゃいから、今もボス猫……のハズ。
「アネさんて言うにゃー!」
とりあえず、その顔を引っかいておくわ。
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