第84話 解説ってめんどう
オレは、すんでの所で回避し、ソイツの後ろに移動したと同時に刀を振り下ろした。
ソイツは振り返らず、片手でその刀を掴んだ。
『お前の勝ちだ!オレの分身を斬ったんだからな。オレのこの手も切られてるから、斬ったと同じで良い』
「お前が子供になってたのか?」
『オレ自身がやり合わないと、正確な判断は下せないからな』
髪の毛の何本かがハラリと宙を舞っていた。
まさに、紙一重で
オレが試練を乗り越えられたのは、これらの試練が、出題の順番通りに解決して行けば、前のやり方を参考にして解ける様に出来ていたからでもある。
今の戦いでも、今までの積み重ねがあったので、対処出来たのだ。
そして、問題には、気付きを与えてくれるヒントがあった。
そもそも、この子だけは、短パンではなく、短い白いスカートだった。
刀身だけを見ていたら、気がつかなかっただろう。
最初の何合か打ち合う内に、スカートに気がついた。
いや、何合も渡り合う内に気づかされたのだ。
そして、最初の、『この子ども』という試練の言葉、つまりこの子に限定をしたことに気がつくのは、今までの問題がヒントになっているからだ。
30体になった時、壁と同一の白で同じ丈の短パンとスカートを区別するのは難しい。
しかし、それは、あの心眼で対処できた。
30体になった時は、流石にヤバいと思ったが、心眼で見ると、29体は幻影というか、目くらましだったのだ。
多数の刀身を無視して斬れたのも、他の刀身はこの子供が作った幻だとわかったからだ。
これは、オレが、リンゴの問題で獲得した能力。
しかし、本当の分身体が背後に居るとは気がつかなかった。
しかも、こっちが本体に代わってるって、なんでもありかよって感じだ。
でも、これはたぶん、スカートの子を見つけ出し斬りつけた時に、思わず勝ったと思った、その気持ちが緩んだ時に仕掛けられていたんだろう。
これは、反省点だ。
この時も、ヒントをくれていた。
斬った分身の目線だ。
それが無かって気付くのが遅れていたら、やられていただろう。
だが、この時、あの心眼の使い方が進化した。
絶体絶命の時、その窮地にあって、対象物を即座に認識出来たのだ。
多分、これはまだいつでも使えるわけではないだろうけど、心眼の極意的なものが掴めてきたから出来たのだろう。
そして、オレが居るこの世界は、
普通に突っ込んだら、階段から落ちる。
その時、ケガしないのは何故かを考えろという事なんだ。
これは、大きなヒントだった。
そういう世界だとわかれば、前のリンゴのヤツも、リンゴの傍にいる事を想像すると直ぐに行けると思った。
後はシールドがないところを探すだけだったのだ。
そして、やっと心眼で見れた。
シールドは、リンゴや机の前面だけにあって、横にはなかったのだ。
さっきの斬られそうになった時、分身の後ろに行けたのも、心眼で見て、そこに居るのを想像する事で行けた。
しかし、これらの事は、オーラを見るチカラの基礎が出来ていたから出来たのであって、じいちゃんとの訓練は無駄では無かったのだ。
実戦で心眼を開眼できたことは、これからの戦いとかで、とても重要になって来るのだろう。
戦い、それがどういう事なのか、誰と戦うのか、勇者ではないと言われて教えてもらえなかった事が、これからわかるって事なんだろうな。
そして、この子供、カギなんだよね?
「しかし、お前が女の子とは?」
『ふふふふふ、性別とかは関係ないだろ、カギなんだから。では、現実へ戻るぞ!』
はっ?
コイツ、サラっと流しやがったな。
オレは、また、真っ暗な中の社殿の残骸の中に居た。
光り輝く子供の格好をしたカギと共に。
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