第75話 美少女女子高生

「う〜ん、それは、見てのまんまの、美少女女子高生じゃない?違うの?」


「お前、賢い子だよな?おちょくってんのか?」


「ホントの事を言うとね、私にはあなたの事がわからないのよ。私は私で、やる事があるからこのクラスに来たの。これでいい?それくらいで勘弁してほしいかな?」


「そうか、じゃあ何で、オレの事を構うんだ?そのやる事と関係があるのか?」


「まあ、護道への嫌がらせかな?うふふふふふ、それと恋人だから?」


「お前、そういう事を言ったらオレの追及を逃れられると思ってるんだろ?」

「もう、恥ずかしいの?そのまんまの意味だけど?私たち、恋人同士にはなれないのかな?」


「ちょっと待て!そういうのはいいから!とにかくお前は、護道とは敵なのか?」

「敵よ!でも、香織は護道とは関係無いわ」


「でも、早乙女は、最早、護道側の人間じゃないのかよ?」

「違うよ。彼女は、護道なんか何とも思って無いし、どちらかと言ったら、見下してる感じかな。私は、本当の親友だからね。紫苑なんかより、もっと前からだからね!」


「そうか?って事は、お前は小学校の時からの親友なのか?」

「そうよ。あの頃、あの子がクラス委員長だったから、私と同じで」


「そうなのか?早乙女は、その頃、好きな子とか居たのか?」

「あれっ?気になるんだ〜!」


「ちっ!誰がだよ!あんな女、願い下げだって!」


 ユミは、急に真剣な表情になった。


「・・香織はね、好きな子が居たのよ。ある日、下校しようとしたら、こんな話をして来たの。今でも覚えてるわ。あの子、泣いてたから」

「それはいったい、どういう」


「失礼します!親分、ありましたよ、いろいろとね」

「わかった、ちょっとユミ、待っててくれ!おい、何か彼女に!」


「私、ここのお店の一押しのおすすめケーキとか、さっきの若草モチ五個とかほしいんだけど?」


「は、はい!承りました!あの、あのオモチにとても合いますスペシャル緑茶とかございますが、如何致しましょうか?」

「じゃあ、それも頂戴」


 コイツ等、やっぱここの人だった?

 いや、ここで自由にやってるから、オーナーか?

 いや、ここの料理長とか?


 それは無いな、あははは。


 こうして、オレは、あの早乙女の脳裏に浮かんだ画像をプリントアウトして手に入れた。

 早くしないと消されたら終わりだからな。


 たぶん、これを見せたら・・・でも、信じるかな、オレの言う事。

 まあいい、一応、これは証拠品として取って置こうか。


 あいつだけじゃなく、シオンも見てるんだろう?

 ユミは、あの時から様子が変わったって言ってたからな。


 甘いか、オレは?

 まだ信じたいのか、オレは?

 早乙女、お前にまだ、オレへの未練があるのなら・・・。


 シオンは、もう、護道のモノだよな。


 でも、護道の不正の証拠にはなるかもな。


「待たせた・・・お前の前のモノが、何でオレの前に移動してるんだよ!」

「あら、わからないの?テーブルが狭いじゃない。あなたの前が空いてるもん」


 もん、もん、もん・・・可愛いいい!


 ダメだ。

 そこ、オレの可愛いのツボだからな。

 何で早乙女と同じ上目遣いをしてくるんだよ!


「えっと、その、何だっけ?」

「・・うふふふふふ、香織より私の方が可愛い?」


「えっ?お前、急に何だよ!」

「だって、そう、今思ったでしょ?」

 なんでカンがいいんだ?

 女子って、こういう事は、敏感なんだよな・・・・そういえば、早乙女ともこんな事があったよな。


 オレの心を読んだかのように・・・・。

 あの頃、あの時、確かにオレと早乙女は意思が通じ合っていた。

 そうだよ、でも、今は・・・それもこれも、何もかもが護道のせいだ!


 早乙女がああなったのは、ヤツのせいだ!

 シオンも、もしかして、護道に出会わなければ、もっと違っていたかもしれないのにな。


「うふふふふふ、そうね、じゃあ、さっきの続き。香織は、下駄箱の所で泣いてたの。で、理由を聞いたら、ムネを触られたって。だから、その子に変態って彼女は言ったのね。そうしたら、その子、クラスに変態って呼ばれてる人が居るんだけど、そいつの事か?って。違うって言うのに、お前もあいつの事、変態って言うんだなって。おかしいよね、それって。香織はそう呼ばれてた子の事、つまり変態って呼ばれてる子の事が好きだったから、もうどうしたらいいのか困るって泣いてるのよ。でね、男子って、ホントにバカだから困るって言い合ったわ。女の子の前とか、みんなの前で、変に目立つ事とかして、止めて欲しいよねって。もうそんな人、居なくなればいいのにとか言って、一緒に愚痴を言ったっけ」


「ちょっと、待ってくれよ・・・・」

 それって、あのオレのトラウマ映像ベスト3のひとつだった、アレのことじゃねーのかよ!


 ユミはここで緑茶をゆっくりと啜る。


 オレは、そんなユミを見ながら、今の言葉を脳内でリフレインする。


 何だって、するとあの時、一緒に喋ってたのが、このユミだったのか!

 しかもだ、しかも、オレの勘違いだったのか・・・・・。


 ごめん、早乙女。

 お前を疑って、ごめんなさい!


 オレは心の中で謝った。



「香織は、たぶん、今もムネとか触られたらムチャクチャ怒る子だから、ちょっと潔癖症なの。クラスラインにあなたのエッチな画像・・女の子のムネを触ってる画像とか、キスしてる画像とか、その、女の子のパンツを被ってる画像とかがちょっとだけ載ったのね。たぶんだけど、あの時、そんなのを見たから、怒ってるんだと思う」


「・・そこまでやったのか!護道め!許さねーからな!」


「だから、それは事前に言わなくて良かったよ。絶対、それ言うとキレると思ったし」


「あたりめーだよ、クソ護道の野郎!!何だよ、だからか!誰も、護道のバカな話とか、論理が破綻して言い返せなかった早乙女とかを非難するでもなく、逆に、オレに敵意を向けて来たのは!そこまでやるんだ!オレ、護道を再起不能にするけど、邪魔するなよな、お前!」


「ダメ!それは絶対ダメ!まだ彼を泳がせて欲しいの。もっとボロを出すから。もっと大きなボロをなんだから!」



 『はず』だと!!

 今、言ったよな!

 ついに言ったよな!

 

 

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