第12話
後に残った早乙女と紫苑は、藤堂一人のことで盛り上がっていた。
「あ~~あ、せっかくマックで話を聞けるって思ったのにーーー!!」
「でも、香織は彼とラインしてるんでしょ?いつでも話せるじゃん」
「うふふふふ、まあ、それもそうだけど、カズト(一人って書くとひとりって読んじゃうし、かずとでは読みにくいので、以後カタカナにします)って、ライン電話しないって言うし。既読になるのも遅いから、あんまりラインの恩恵がないのよね」
「そうなんだ。香織っていう美人からの電話なのに?」
「茶化さないでよ。でもね、彼、可愛いわよね。なんか
「うふふ、香織に言われたくないって、一人君、思ってるよ」
「いや、あいつはそんなに乙女心がわかるヤツじゃないよ」
「そうなんだ?う~~んと、それはつまり、その、ちぇ・・・あははは、久美子の影響が出てるみたい、わたし」
「そうね、久美子、エッチだからね。つまり、紫苑は、彼の事、ちぇ、ちぇりー君だと言いたいわけだ」
「ちぇ、ちぇりー君って、わたし、わからない」
「あのね!あんた、私に対してもカマトトぶるわけ?」
「えっ?かまととって意味がわかんない。おいしいの、それ?」
「正真正銘のカマトト女だよ、あんたは!久美子の親友のあんたはいろいろと教育を受けてるんでしょ?知ってるんだからね!ほらほら、ネタはあがってるんだぞ、容疑者S!」
「まじで、ごめん、冗談だから。香織、刑事とか検察官とか、そっち方面の職が似合ってない?止めようよ、教師とかになるの」
「別に、いいじゃん。教師ってさあ、特に美人の教師ってさあ、イケメンの教え子の男子高校生と禁断の恋をしてさあ、もう、どれでも入れ食いだったりしてさあ、ぐふふふふ」
「やっらしいいい!!香織、それ、久美子に毒され過ぎだよう。委員長も、一皮むけば、こんな事言ってますって、教えてあげたいわ。特に、カズト君に!」
「ダメよ、それは!!絶対にダメだからね!女子トークオンリーだからね。マジでここだけの話しよ!」
筆者注:誰もがこのような話しをしている訳ではないと思うのは、実に間違いである。高校生くらいの女子トークでは、妊娠しただの、あそこのラブホがいいだのという話で盛り上がることもあるのだよ・・・・。私の時なんかは、中3にもなったらどこの産婦人科が良さげだとか、委員長的な女子がそういう病院でアレする女子の為にカンパとか募ってたりしてたよ。だから、そうなんですよ、あの清純そうなあの子も、あの大人しそうなあの子も、実は・・・・・。現実よりもここで書く話は、ソフトすぎる感じなんだからね。蛇足でした。
「それはそうと、香織、カズト君と上手くいきそう?」
「うふふふ、もうね、多分、殆ど私のことが大好きみたいだよ。だって、いつも美人とか可愛いとか言ってくるもん」
「う~~ん、それはどうなのかな?彼、そんな事言うのに慣れてるみたいだし。大抵の女の子に、そう言ってそうだよ」
「そこよ!私もバカじゃないわよ。でも、話してたら初心なんだよね。だから、絶対彼は、その、ちぇりー君に間違いないわ」
「そうね。でも、時々、彼って暗い顔することあるじゃない?」
「えっ?そうかな?いつも話してると面白いんだけど」
「そうなんだ。で、香織は友達から彼氏になってもらいたいわけね」
「うん、応援してくれる?」
「もちろんだよ。そんなに悪い人じゃなさそうだし。うふふふ、それに香織好みのイケメンなんでしょ」
「うん、もう最初に声を掛けられた時に、私は恋に落ちてたわ」
「うふふふふ、運命ってヤツ?」
「そうそう、ついに私にも、来る時が来たのよ。わたし、がんばるわ」
「だとしたら、今度の日曜日にデートしたらどう?たぶん、上手く行くよ」
「ええっ!そ、そうかな?ちょっと、早くないかな。まだ、その二人だけの空間で話したことが無いって言うか・・・」
「なによ、それをするのがデートって事でしょ」
「さすが、久美子の親友だけあるわ。経験者の紫苑の意見は参考になるよ」
「えっ?経験だなんて・・・わたしも・・」
ガシッと紫苑の手を握る早乙女。
「ぐあんばるから!わたしは、もう、お堅い委員長の殻を打ち破るんだからね!」
「う、うん。がんばって」
こうして、デートをすることを決意した早乙女だったが・・・・。
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