第49話
「ここがミウスさんの部屋じゃ。
掃除はしてあるから後は自由に使ってくれ。
別にナニしてくれても構わんからのう。」
(^^)b
「……うん……。
ぐっじょぶ(^^)b」
「ああ、あと幹の部屋の隣じゃから壁をぶち抜いておいたからのその代わり他の壁の防音力を強くしておるからのう。」
じいちゃんあんたは何孫に期待しているんだよ。
「あの根々様私も幹さんのお部屋で寝たいのですがよろしいですか?」
「おぬしはまだ駄目かのう。
ほれ、葛西さんとこもそればかりは許容せんほうがええしな。
それにここには結界も貼ってあるけんあまり集まり過ぎると湧くからな。」
「湧くですか?」
「お嬢様異形のことですよ。」
「恐らくこの家に張ってある結界は糸のように察知するタイプの感知タイプの結界と住んでいるモノに対して力の空間を抑制するタイプの結界が張られているのです。
元から強いミウスさんや幹さんは複数の力をお持ちのようですしこれなら異形は興味を持つだけで済みますがお嬢様はまた力とはまた違った別の性質を持っております。」
「む、難しい話は後にしましょう。
一緒に寝られないのは寂しいですが今日は我慢します。」
「先に風呂に入ったらええ。」
「はい頂いてまいります。」
「お供しますお嬢様。」
じいちゃんが言う本当の意味での湧くとは異界の存在に触れている二人にさらに干渉する可能性のある存在がいると何者かが異界からやってくる可能性がある言いたかったと思われる。
葛西さんもそのところを理解しているのかそれなりに言葉を濁しながら話して去って行ってくれた。
◇◇◇◇
「絶対みんな何か隠しています。」
斎花(さいか)さんに頭を洗われながら愚痴を零す。
いままで治療薬のせいで頭髪が薄くなり女の子らしいオシャレも出来ていなかったが今では少しくらいの髪の毛のオシャレは出来るようになっていた。
「申し訳ございませんがお嬢様。
あまりプライベートなことを聞こうとすると嫌われますよ。
わ、私は幹さんのことが好きというわけでは……。」
「私は一言も幹さんとは言っていませんが。」
「は、嵌めましたね斎花。」
「嵌めるも何も私はただ単に友人を作るにしても距離感というものが大事だと述べたまでですよ。」
斎花も斎花でお嬢様が無自覚の恋に堕ちているのは気が付いていた。
しかし恋心を知らぬ無知故にここから先に進ませていいのかは正直迷う。
あの刀赤根々もそうだが無自覚かつ無知の恋に対しては答えることはしない。
無知を気づくことを知らなければ前進させない主義の人間だし旦那様も無知のままに恋に溺れてしまっては嘆いてしまうだろう。
この会話の糸口からお嬢様がもっと恋について感じてくれればいいのだがと思っている。
「私は恋をしているんでしょうか?
斎花はこの胸が焼けそうになる感情を知っていますか。」
「ええ知っています。
ですがそれは戦場でのことでした。
異形との戦いで絶体絶命の状況に陥ったことがありました。
その時の高揚感は正に胸が焼けるようなそんな高揚感です。
しかしこれは恋とは呼べないものです。
私も恋に堕ちたことはございます。」
「それは誰とですか。」
「夫とですよ。
恋とは望んでなるモノと望んでならないモノがございます。
夫との恋は望んでなった恋です。
私は望まずに、無自覚の恋に堕ちたことはありません。
私がお嬢様に今できることは何に恋をしているのかを考えていただくことです。」
「なら私は恋に堕ちているのでしょうか?」
「まだわかりません。
ですが自分が何に対して思い焦がれているのかを考える必要はございます。
それが恋に思い焦がれている可能性もございますし刀赤幹さんに恋に堕ちている可能性もございます。」
難しいお話だった。
今までの自分は生きることを半分諦めて生活していた。
でも今はその生きることを諦める必要もないし好き勝手生きる生活を送ることができる状態だった。
以前の生活の中ではどうやって死ぬことばかり考えていた。
そして今は生きることで物凄く大変なことでいっぱいだ。
抱え込む必要のあるものかどうかを考え始める時期に差し迫った時期に恋をする暇なんて本来は存在しない。
「お嬢様は今とっても大変ですね。
青春してるようで何よりです。」
「青春って部活したりとかお友達とお茶しに行ったりすることじゃないんですか。」
「それもまた青春。
青春とはもっとも若く元気でいて悩みの絶えない時期とも呼べるのですよ。」
若人はいつの時代も悩む。
悩みこそが成長に繋がり大人を超えよう時代に順応する偶然(奇跡)が生まれる。
「ところでお嬢様。
最近胸のマッサージをするようになったのは何故でしょうか。」
「な、なぜそれを。」
「バストサイズが上がらないのに敢えて大きめのサイズのブラジャーをご所望されたり最近は豊胸効果が期待されている豆乳やグレープフルーツ、アボカドなども必ず一食には居れるように言っているではありませんか。」
「う、うう。」
「ですがお嬢様。
胸はですね先ず多少なりとも太らないと膨らみませんよ。」
目指す頂きはミウスさん。
「でもその前にお嬢様の本来の髪を見ていただいた方が好感が持てるかもしれませんね。」
「うがー。」
「もう少し淑女にしておきましょうか。」
一児の娘を育て上げただけはありお嬢様の教育には適度な影響を与えて自立をしてくれればいいと思う斎花は願わくば幹にたいして恋に堕ちていることに早々に気づいて欲しいと願うのだった。
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