第40話

それだけのことをされていても起きているとは出ずに寝ている判断してしまう狸寝入りの技術力の高さは頷けるがぐーたら民族にしか意味のない無用の長物にも見える。


「お嬢様の悪い虫は死ねえええええええええ、刀赤 幹お命頂戴覚悟ぉぉぉ。」

「クソババアは死んどけド阿呆!」


家に入るや否やじいちゃんと同じくらいのお年を召した女性がねじれたナイフのようなものを持って差し掛かってきた。

もちろん避けて詩さんが代わりにカウンターアッパーを食らわせる。


「何お客様にヤークトコマンドナイフなんて殺傷能力の高いナイフ持ちだしてるんですか。しかもそれ日本じゃもう手に入らない品ですよ。どこから密輸してきたのか吐くまでこの家の敷居は跨がせませんよクソババア!」

「若いもんにはまだ負けぬは!お嬢様の育て親であるこのわたくしめを差し置いて家を守るなど片腹痛いわ!」

「この老害が!今の時代ごとに合わせた生活をさせないと流行に乗り遅れるだろうが!ただでさえうちは超大手!流行を作る教育が必要だってのに若い流行を忘れさせてどうする!ダメージジーンズをオシャレとも思わない老害が!」

「そろそろ決着をつけようと思ってたところです。受けて立ちますよ。サボテンさん。」

「誰が白い悪魔の先兵じゃボケカス!ならば貴様もあの木端微塵となったあの地球人のようにしてくれるわ!」

「キエエエエ!!!誰が薄毛だ小娘が!」

「は、自分で言ったんだろうにこの王子の息子に秒でやられるプライドだけの雑魚種族が!」

「てめえこそ王子にやられてんだろうが!」

「ふ、貴様は所詮地球人最強と呼ばれこそすれども嫁に敷かれるだけの馬鹿なのさ。それに白い悪魔だったとしてもマザコン野郎だろ!」


目の前で仁義なき戦いが行われようとしている。

つかなんで某国民的ギャグマンガ系からバトルマンガに転向した西遊記っぽいマンガの会話してるのかは不明である。


「行くぞ!」

「ああ!」

「「決闘!」」


フリガナ降ってないからただの決闘です。

でも似てる。

式神というものなのだろうか互いに札を持って異形を召喚していく。


「私のターン!ゆけ電気鼠!」

「甘いな速攻術式発動 霊力与奪!これでお前の電気鼠は私のモノだ!」


なんかこれ以上話を進めると色々引っかかりそうなので割愛しておくが某決闘と名の付くゲームをごちゃまぜにしたようなバトルであったと明記しておく。

最終的にはGXの卒業デュエルと同じような結果で終わった。


その間、明日香さんに家の内部を案内してもらっていた。


「今、お茶を淹れたいところなのですが、私はお湯を入れるやかんにすら触ったことが無いのでいつもは二人にやってもらうのですが、あの二人が喧嘩をするとどちらかが倒れるまでするので夜になってしまうかもしれません。どうしましょうか、流石に一息ついた方が良いですよね。」

「なら私が淹れますから台所に案内していただけますか。」

「はいこちらです。」


キッチンに案内されるとこの家が見た目だけは普通に似せていることがよくわかった。

足から伝わる木のフローリングの跳ね返りは本物の正真正銘タイルではなく床から来ていることが分かるしその木目も密度がしっかりとあることから相当良い木材を使っていることが伺える。

またキッチンを見れば電子レンジにオーブンレンジと別にあり、コンロもガスコンロではあるが汚れが付きにくいようにテフロン加工をされているし最近話題のセンサー付きコンロだとわかる。

冷蔵庫のサイズは少々大きめの600Lだがこの田舎にはちょうどいいサイズ感だ。

そこまで頻繁に買い物に出かけるわけにもいかないのでこのくらいのサイズが妥当だ。


台所の動線も広々とられており家族との時間を共有できるようにしているのかそれとも侍女が複数人行き来することを想定しているのかは定かではないが機能性と見た目がともに良く見えるのでとても腕のいいデザイナーを呼んだと伺える。


「えっと紅茶か緑茶どっちがいい?」

「私は緑茶を飲みたいのでよろしいでしょうか。」

「コクリ(;´・ω・)」

「うん、ならこの鉄瓶のやかんを使おうかな。」


緑茶とコーヒー用と思わしき鉄瓶のやかんを取り出し内部にテフロン加工などが無いことを確認すると水を注ぎコンロに火をかける。


「沸騰したら少し覚ますからちょっと待っててね。」

「沸騰してから覚ますのですか?」

「緑茶は沸騰したお湯でやるのはあまり好ましくないからね。」


一旦急須と湯呑にお湯を入れて温めた後にひと肌くらいの温度で居れるのが好ましい。

アツアツのお湯でお茶を淹れる際は野草茶などが好ましい。

あとはコーヒーなんかは好みに別れやすいし豆によって抽出温度が変わってくるのであまり凝ってる人だとお出しするときに緊張してしょうがない。


「さ、できたよ。詩さんたちには遠く及ばないだろうけどね。」

「美味しいです。漱歌(そうか)さんが淹れるのよりも美味しく感じる気がします。あ、漱歌さんは詩さんの祖母で侍女頭の人なんですよ。」

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