第23話

「お前ら、昨日も転校生が来たがまたこのクラスに転校生が来ることになった。

 まあ、外国からの転校生だから留学生に近いかもしれないが日本語はペラペラだから安心しろ。」


大山先生が朝のホームルームを始めると同時に不服そうな顔をしながら話した。


「先生何で私たちのクラスなんですか?うちの学校は7クラスもあるのに何でうちのクラスに来るのでしょうか?」


このクラスの学級委員長が疑問を口にした。

実際これだけクラスがあるのにこのクラスに転校生が二人も来るのは珍しいを通り越しておかしい。

本来人数的にも少ないわけではなくむしろ多いくらいのはずなのに転校生が来ること自体おかしい。


「俺も今朝聞かされたばかりだ。

 きちんと報連相してくれない学園だからな。

 今回急遽転勤になった人のところの上司が理事長と仲がいいらしくてな。

 見知らぬ言葉も通じぬ土地では学校も探すのが大変だからうちに来いってことで決まったらしい。」


大山先生が不機嫌になっている理由が分かった。

恐らく伝えたのが学年主任の比較的若めな先生で連絡が遅れたとかそんな感じだったのだろう。

大山先生は社会人になっても恥ずかしくないように色々指導する。

例えば先生と生徒では上司と部下の練習になるからと言って敬語の練習をするのなら協力するとおっしゃってくれたり。

日常生活で重要な行動の仕方などを高校生のうちから学ばせてくれる先生だ。


社会に出てからは指摘してくれる人は少ない。


それをきちんと教えてくれるのだから勉強しない手はない。

しかしそれを快く思わない生徒も居るので不人気ランキングでは上位に位置する人でもあった。

保護者からの信頼は厚いのだが生徒からの信頼は皆無に等しい。

現場を知り過ぎて新人から毛嫌いされる人のように見えた。


「先生、それじゃあうちのクラスに配属される理由になっていませんよ?」

「ん?ああ、お前らは知らないのか。」

「はい?」

「刀赤は10か国の語学検定を取ってるんだよ。

 しかも全部上級レベルでな。」

「は?」

「三上さん、今回は感情が表に出たからしょうがないその言葉遣いはエラーだぞ。」


学級委員長こと三上 紗優利はプルプルと震えていた。

学級委員長の成績は学年トップだ。

しかしその自分よりも勉強できるかもしれない人物、自分の地位を脅かされるかもしれない人物が居たことに対して強い感情を覚えた。


「ま、負けません!」

「成績は三上の方が上だろうに。何事にも負けたくないのは若者の特権だが年上からするとそれは疲れるぞ。」

「でも負けません!」

「まあい…「私の刀赤さんを取るというのなら受けて立ちます!」…………ややこしくなるから他所でやれ。」


おーい明日香さんや私はあなたのモノではないのだが……

大山先生も頭を抱えつつもう一言声をかけた。


「お前ら、青春を楽しむも自由だが相手の気持ちをちゃんと知れな。じゃあ転校生は入ってきていいぞ。」


「…………はじめまして……。」


俺はその時思考が追い付かずに一瞬ブラックアウトした。

制服を着ているがアレは牛だった。


「……私………ミウス…………これから……よろしく……。」


ミウス、誰が名前を付けたのか解らないが鑑定してみる。


水牛を超えた牛

二つ名 人間に恋した乙女

個体名 ミウス


二つ名としては突如として現れた人間に対して自分に興味の感情を向けたと勘違いし記憶を読み取った結果。

母乳プレイという真理を追究する本の記憶を閲覧した結果自分にも気があると確信して迫りに行った。

女性としてみるのなら草食系男子にとってはかなりの優良物件ともとれる。

純情だしきちんとパートナーを引っ張ってくれる良い妻となってくれることでしょう。

難点があるとすれば自分優位にことを運びたいわけではないので拗ねた時にきちんと構ってあげる必要があります。


また神界規定において再教育をしたため今回こちらの世界の滞在を許されました。


個体名 刀赤 幹 以外にはただの棒人間のようにしか見えないので下手にかかわらせようとすると相手が自滅します。

再教育内容は大量の生命、物質を破壊する行動を制限することですので自滅の場合は制限の範疇にございますのでどうか彼女が暴走しないようにお願いします。

マジで彼女、あなたのためなら地球ぶっ壊すかもしれないんでそんなことしたら上司に怒られるんでお願いします。

補填はしますからお願いします。


『地球の管理神から並行思考スキルを付与されました。』


なんかこんなボンボン貰えるとありがたみが無くなる気がするんだが…………


『どんどん生物としての枠組みを外れているようで何よりです。』


ショップスキルさん煽ってますね。


『いえいえ、あんな美女に迫られていて、しかも他の美少女からは所有物宣言、なんともお客様が羨ましい限りです。』


性格を気にしなければですが…………


聴こえてんぞ。


『失礼いたしました。そろそろお客様の奥様の質問コーナーが始まるので私はお暇させていただきます。」


しかしなあ、もう並行思考スキルが1円玉増産機械にしかならないし元を取るまでの年月を考えれば俺の寿命が足らないのだが……


もう3つの並行思考ができて本体も含めれば4つ。


時給  43200円の収入が得られるのだからそろそろ年金や税金がどうなるのか気になるところなんだが……


『申し遅れました。当スキルは年金、市民税は当銀行が全て負担いたしますのでお客様には安心して収入を得ることができます。尚いかなる質問もこのことについてはお答えしかねますのでご了承ください。』


あ、はい。それで運営していけるんですね。


「さてお前ら、待ちに待った質問コーナーだ。」


大山先生の言葉に男子たちは騒ぎ立てて女子たちはその男子を蔑むような眼で見ていた。


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スライム道

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