第61話 望月の言い分

望月の前には100名ほどの竜騎士団の団員達が並んでいる。全員大した怪我も無かったので、取り敢えずポーションをぶっかけて訓練に復帰している。


「フィロメオ、私の言うことをコイツらに伝えてくれ」


望月がフィロメオに指示をした。普段はポンコツの癖に、かっこよく見える。どういうことだ。


「は、はい!了解しました」


「私の名前は望月だ!見ての通り、"騎乗の神様の加護"を授かっている」

「שמי מוצ'יזוקי! כפי שאתה יכול לראות, קיבלתי "ברכת אלוהי הרכיבה」



望月の大声が練兵場に響き渡る。


「お前達はこう考えているだろう。私がモチ太郎、ブラックドラゴンになんの魔道具もなく騎乗し、操ることが出来るのは加護の力のおかげだと」

「אתם חושבים ככה. זה בזכות כוח הברכה שאני יכול לרכוב ולתפעל את מוצ'יטארו ואת הדרקון השחור בלי שום כלי קסם」


団員達が戸惑いながらも頷く。


「大間違いだ!私はドラゴンを乗りこなしたから"騎乗の神様の加護"を授かったんだ!!」

「זו טעות גדולה! קיבלתי את "אלוהי הרכיבה על אלוהים" כי התגברתי על הדרקון!!」


驚きが広がった。


「勿論、加護を授かってからの方が何倍も上手く操れるし力も引き出せる。だが、加護がなくてもドラゴンを乗りこなすことは可能だ!」

「כמובן, לאחר שקיבלתם ברכה, תוכלו לתפעל אותה פעמים רבות טוב יותר ולהוציא את כוחכם. עם זאת, אפשר לרכוב על דרקון ללא ברכה!」



団員達の顔付きが変わった。


「この中に【テイム】のスキルを持っている者はいるか?」

「האם למישהו מאלה יש את המיומנות Tame?」


全員が手をあげた。流石は帝国中から集めたエリートといったところか。


「ドラゴンを完全に【テイム】することは非常に難しい。ドラゴンを【テイム】するには屈服させる必要がある。ドラゴンを屈服させるには戦って勝つか、その背に跨り乗りこなすしかない!」

「קשה מאוד לאלף דרקון לחלוטין. אתה צריך להיכנע ל [לאלף] את הדרקון. הדרך היחידה להיכנע לדרקון היא להילחם ולנצח, או לחדור לגבו!」



つまり、ここにいる全てのドラゴンとワイバーンは望月に【テイム】されてしまったのか。


「しかし、【テイム】を磨けば、モンスターの気持ちが分かるようになる。相手の気持ちが分かれば、乗りこなすのももう少しだ!とにかく【テイム】を磨け!!」

「עם זאת, אם תלטש את Tame, תוכל להבין את הרגשות של מפלצות. אם אתה מבין את הרגשות של הצד השני, תוכל לרכוב עליו קצת יותר! בכל מקרה, פוליש Tame!!」


歓声が聞こえる。気の早いことだ


「そしてもう一つ!とにかく挑戦することだ!!今日、モチ太郎に乗ってみようという挑戦者はいるか!?」

「ועוד אחד! פשוט אתגר!!האם יש מתמודד שמבקש לרכוב על מוצ'יטרו היום! ?」


望月の言葉をフィロメオが訳して問いかけると10名程が手を上げた。


「よし!お前達!今からモチ太郎に乗ってみろ!!」

「בְּסֵדֶר! אתם חבר 'ה!עלה למוצ'יטרו מעכשיו!!」


フィロメオの掛け声で挑戦者達がモチ太郎に群がる。が、その背に辿り着く前に尻尾で飛ばされた。


「次はいるか!?」

「האם יש הבא!?」


フィロメオが再び代弁すると、次の10人が応え、モチ太郎に向かっていく。勿論、尻尾で追い払われる。


「次!」

「הַבָּא!」


「次!」

「הַבָּא!」


「次!」

「הַבָּא!」



同じ光景が何度も何度も繰り返された後、とうとう根負けしたようだ。モチ太郎の背に辿り着くものが現れた。もちろん、すぐに振り落とされてしまったが、大きな一歩だ。いずれ、竜騎士団の中に"騎乗の神様の加護"を授かる者も出てくることだろう。

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