第20話 2人のエルフ
駐屯地の広場では黛の前でエルフの男が五体投地していた。面白い絵なのでもちろんRECだ。
「「ネギシドノ!オジヒヲ!」」
マレーンとグランピーが俺の足元で男エルフの助命を乞うている。どうやら長年、リリパットに対して魔導具を提供していたのがこの絶賛降伏中のエルフらしい。
"立て"
"……"
額についた砂を払いながら、エルフが立ち上がった。身長は俺と同じぐらいか。長い銀髪をオールバックにまとめた男の造形は計算され尽くした美を感じさせる。
"寛容の神様に鞍替えだ。ルクハルトといったか?お前を許す"
"すまなかった。我ながら軽率だった。リリパット達が無理矢理働かされているように見えたんだ。てっきり帝国の人間かと"
働かせていたのはあながち間違いでもないが、否定する必要もない。
森でリリパット達に事情を聞いたルクハルトは駐屯地での裁きを望んだ。リリパット達の前で正式に謝罪させてくれと。
"お前を許したのは打算からだ。魔道具を作っているんだったな?"
"ああ。私にはそれしか能がないからな"
"俺に協力してくれたら今回の件はチャラだ"
"私に出来ることならば"
真面目な奴だ。扱いやすい。問題は女エルフの方だ。
首に刻印を持つ女エルフは随分と楽しそうに俺達のやり取りを見ていた。同族が地面を舐めていてもお構い無しでヒョウヒョウとしている。
"楽しそうだな。自分は関係ないということか?"
"当たり前じゃろー、こやつが勝手にやったことじゃ。ワシは関係ない"
堂々と胸を張って言ってのける。その格好は娼館から抜け出てきたようで、とても森を歩くものではない。長い銀髪が身体の曲線に沿ってながれ、扇情的だ。いわゆる薄い身体ではない。
"しかし驚いたのー。あんなスキルの使い方があるとは。オンシ、この星のもんではないな?"
"察しがいいな。異世界からの旅人ってやつだ"
"この近くのダンジョンを抜けてきたか?"
"勘弁してくれ。俺がそんなまともな手順を踏むように見えるか?"
"カカカ!性悪の神様の加護持ちじゃからな!"
女エルフはスッと身体を寄せて俺の首に手を回した。
"気に入った!どうじゃ、今からワシと寝てみんか?"
女エルフの背後で大鎌が光った。
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