第48話 黛と肉
「改めて礼を言う。いい絵が撮れた」
「いい。スキルオーブも貰ってたし」
「【浮遊】のスキルで死神として完成したな」
「まだ。いま髑髏のマスク作らせてる。それが出来て完成。この肉美味い。サブローも食べて」
落武者チャンネルの撮影の後、俺は焼肉店の個室で黛の労をねぎらっていた。勿論、和久津はいない。
「今回の動画を投稿すれば間違いなくバズる。なんせ死神召喚だ」
「そんなに?」
「そうだ。ゴブリン召喚でさえ世界中で盛り上がったんだ。死神召喚が盛り上がらない筈はない」
「和久津、私って気が付いてなかった」
「それはそうだろ。お前が姿を消せるって知らないからな。本当に召喚したって思っている筈だ」
「あのオーブみたいなの何?」
そう言いながら焼けた肉を皿にのせてくる。少々意外だが食事の時、黛は世話を焼きたがる。
「力を込めると閃光が出るだけの魔道具だ。モンスターハウスの外れドロップだ」
「そういえばオークジェネラルのドロップショボかった。残念」
「今回もなかなかの性悪ムーブだったんだけどな。トドメを刺したのが俺じゃなかったから加護の働きが弱かったのかも知れない」
「サブローの神様は性格悪い」
「そーいう神様なんだよ」
俺の神様は俺自身が悪辣で性悪なムーブを取ることを望んでいるらしい。俺が計画したとしても俺自身が実際に動いていないと、レアドロップの確率はそれほど高くなることはない。
「そういえば、最近変な勧誘とかなかったか?」
「勧誘?アイドルの?このタンも美味い。サブロー食べて」
「いや、闇クランだ。アイドルのスカウトあるのか?ふむ、美味いな」
「アイドルの方は定期的に芸能事務所から誘われる。闇クラン?」
「ああ。協会未承認のクランのことらしい。俺のところにはカオスサーガって闇クランのやつが勧誘にきたぞ。カオス系の加護持ちを集めているらしい。お前のところにも誘いが来てもおかしくない」
「あっ。来たかも」
「大丈夫だったか?」
「大丈夫。ダンジョンで付き纏われたから、ナイナイした」
ないないか。詳しく聞くのはやめておこう。
「俺の方は三毛猫社で酷い挨拶を受けたよ。必ずやり返す」
「楽しそう」
「まだ準備段階だが、時期が来たらお前も誘う。手伝ってくれ」
「デートに誘われた。嬉しい」
どんなデートになることやら。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます