第13話 第3階層

第3階層から現れるモンスターが変わる。


今までゴブリンオンリーだったが第3階層ではコボルトがメインになる。ゴブリンは小学生3、4年生ぐらいのサイズでコボルトはそーだな、5、6年生ぐらいだろうか。まぁ、その程度の差だ。


コボルトで注意すべきはその敏捷性と嗅覚だ。犬っぽい見た目の通り、ゴブリンよりずっと素早いし鼻も効く。少しでも血を流しているとわらわらと寄ってくる。


ちょうど俺の目の前にもそのような光景が広がっている。


ダンジョンのどん詰まりに横たわるのは血塗れの小柄なヒト。フードを被っていて顔はよく見えない。辺りには血の臭いが広がり、息をするのも躊躇われるほどだ。


その周りには血の臭いに誘われたコボルトが5体。今にもヒトに齧り付きそうだ。


「ゴバ、戻れ」


俺は召喚オーブを握ってそう念じた。そうするとコボルトに囲まれていたヒトが光を放ち、フッと姿が消えた。残ったのは血塗れのフードだけだ。突然の光にコボルト達が驚き、周囲を警戒する。


「おい、犬畜生!これでもくらえ!」


俺は着火しておいた火炎瓶をコボルトの群れに向かって投げつけた。


「キャンキャンキャン!」


火炎瓶が直撃したコボルトが叫んで暴れ、次々と周りに引火していく。フードにも引火し、一気に炎が広がる。1分もすると5体とも焼け死んで煙になり、後には魔石が5個とコバルトの結晶が3個残った。コボルトのレアドロップはコバルトだ。今回のレアドロップ率は6割なのでかなりうまい。


「血塗れゴバ頭巾ちゃんが完璧にハマったな。気持ちの良い勝利だ」


魔石とコバルトを拾い上げてリュックに入れる。コバルトの結晶は世界的な供給不足の中で高騰していて、1個10万以上で売れる。


「しかし嵩張るのが問題だなぁ。マジックポーチ買わないと」


血塗れゴバ頭巾ちゃん作戦は準備に手間がかかるし荷物も増える。今回は一発で30万以上の稼ぎがあったもののもう少し効率のよい性悪ムーブを考えないとマジックポーチには手が届かない。なんせマジックポーチは安いものでも500万はするのだ。


「リュックも満杯だし、引き上げるか」


俺は独りごち転移石に向かう。


このままのやり方ではゴブリンを罵倒狩りしている方がパフォーマンスがいい。何かある筈だ。考えなければ。

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