第29話 ネタバレ回避

 なんかキャラレベルもスキルレベルも上がってびっくりなんだけど、落ち着いてまずはサローンリザードを解体。


【解体スキルのレベルが上がりました!】


 はいはい、とりあえず先にゲットしたものを確認だな。


【サローンリザードの肉】

『サローンリザードの肉。筋肉質。

 料理:硬くて食べづらいため、酵素などで身を柔らかくする必要がある。また、味がほとんどしないため、別の味付けが必要』


【サローンリザードの毒腺】

『サローンリザードの毒腺。麻痺毒が詰まっている。

 調薬:パラライズポーションの原料となる』


【サローンリザードの皮】

『サローンリザードの皮。水をはじく』


 なんか皮のフレーバーテキストが雑なのは、これ何かのスキルが必要なんだろうな。これは後で確認するとして、次はキャラレベ上がってもらったBPを振ろう。

 まあキャラレベ5まではステータスに振るつもりだったし、今回はSTRとDEXに3ずつ、AGIに2、INTとVITに1ずつ、LUKはやっぱりスルー。


 で、次は調教スキルのレベルが上がったのを確認なんだけど……とりあえずルピを見てみる。


【狼?:ルピ:親愛:自由行動】


 種族が『狼?』ってなってるのは、鑑定スキルのレベル上がってもそのまま。で、『自由行動』ってなんだこれ? あー、ひょっとして……


「ルピ。ステイ」


「ワフ」


【狼?:ルピ:親愛:待機】


 なるほど……。今までも命令無視とかはしなかった気がするけど、仲の良さとか関係あるんだろうな。


「よしよし、偉いぞ」


 意味なく『待て』をしちゃったし、サローンリザードにもやる気まんまんだったので、褒めてあげないと。

 兎肉を取り出し、少し切って与えてやると美味しそうに食べるルピ。その姿が微妙に美姫に似てなくも……


【ミオンが視聴を開始しました】


『ショウ君、ルピちゃん、こんにちは!』


「ようこそ、ミオン。今日は家の用事があるって言ってたけど、もういいの?」


『はい。それで、ベル部長から連絡があったんですけど、詳しい話ってショウ君わかりますか?』


 あー、例の連絡行ったのは俺だけじゃなかったのか。ってことはヤタ先生にも連絡行ってるのかな? ま、なんか話し合いがあるなら夜だよな


「とりあえず、何があったかざっくり話すよ。罠の見回りしながらでいい?」


『はい』


 ややこしくならないよう、昼に美姫——セスのライブを見始めたあたりから。

 無人島発見のワールドアナウンスがあったこと、ベル部長に言われて無人島スタートのライブを確認に行ったこと、ライブは上陸してすぐ終わっちゃった……ってぐらいかな?


『なるほど……』


「夜に続きをライブでやるとか言ってたよ」


『見に行きます?』


「いや、別に見なくていいかなって。ヤタ先生やベル部長がどうしても見とけっていうなら見るけど、なんか妙にネタバレされると嫌じゃん」


 わからないことがあって、ミオンに聞くことはあるけど、全く知らない展開が起こったのを見ちゃったりするのはなあ。

 同じことがこの島で起きた時に「あー、あれかー」ってなって……萎えそう。


『そうですね。じゃ、そっちはベル部長に……』


「いやいや、ベル部長、今日はライブする日でしょ。それに、向こうが何をやっても別にこっちが困るわけじゃないなって」


『こちらの動画の再生回数が減るかもですよ?』


「うーん、俺はミオンとだべりながらプレイが出来ればそれでいいし。

 先生も収益化にはそんなにこだわってなかったから、しばらく様子見してればいいんじゃないかな」


 そう答えると沈黙が……つらい。怒らせちゃったかな?

 やっぱり例のライブは見に行ったほうがいいのか……お? この土、なんかちょっと色が違う?

 陶工スキルを発動してみるとマーカーが出てきたので、多分、これは粘土になるやつ!


【赤粘土】

『赤い色の粘土。

 陶工:陶器の原料となる』


「粘土来た!」


 よしよし、とりあえずこれで土鍋でも作ってみるかな。


『えっ? それって一体?』


「あー、えーっとね……」


 そういや説明してなかった。調薬しようとして鍋がなくて、じゃあ鍋自体を作ろうって考えて、鉄鍋はどう考えても無理だし、石鍋は削るのが大変だよなってなって……土鍋なら作れるんじゃね? っていう。


「そういうわけで、陶工ってスキルを取って、粘土を探すついでに罠の見回りに来てて……」


『ちょっと追っかけ再生して見て来ます!』


「オッケー、いってらー」


 んー、別に怒ってなかった? ミオンも再生数とか収益化とかあんまり気にしてなかったと思うし。


「ルピ、次行くぞー」


「ワフー」


 サローンリザードの毒腺からパラライズポーションが作れるんなら、ゴブリンたちを相手にするのに用意したいところ。

 丸い陶器ビンを作って『投げてぶつけて相手を無力化』はありかもしれない。ひょっとしたらアーマーベアにもワンチャンあるかも。


「ま、そうそう、うまくは行かないか」


「ワフン」


 二箇所目は空振り。前回も空振りだったし場所が悪い?


「うーん……ああっ!」


 インベントリに確か……あった! サウスネークの肉。これ特に美味くもないし、餌にしちゃっていいよな。

 罠設置スキルでいい感じの場所に蛇肉を設置。これでトカゲ君が来てくれるといいんだけど。


「じゃ、次ー」


「ワフー」


 ………

 ……

 …


『大きいトカゲがかかってたんですね!』


「そうそう、1mぐらいあったと思う。あれってレベル的にどれくらいなんだろ?」


『レベル5相当だそうです。皮を集めるクエストとかもあるみたいですね』


「あー、戻ったら皮の加工も考えないとなんだった」


 水をはじくってフレーバーに書いてあったし、加工した革が防水となると、いろいろ重宝しそうなんだよなあ。


『皮の加工ですか? 何かスキルがあるんでしょうか?』


「多分? テントに戻ったら探してみるよ。屋根を葉っぱから防水の革に変えないと、雨降るとやばいし」


『あはは』


 そういや、ゲーム内で雨降ったことまだ無いんだよな。実装されてるのかどうかもわかんないんだけど。


『あ、すいません。ちょっとまた呼ばれたので……』


「あいあい、気にせずー。俺も見回り終わったら落ちるんで」


『はい。夜にまた!』


 視聴者数が0になったのを確認し、ふうっとため息を……心の中でついておく。


「ワフン」


「ん、そうだな。いったん戻って遊ぶか」


「ワフッ!」


 予想外にキャラレベルもスキルレベルも上がったし、続きは夜にするかな……

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