第252話○美愛のバーチャルライバーデビュー!
「Vまわります。5、4、3……。」
「……しめなったか!みんな、見ちょるかな?日向夏へべすちゃが!今日は日向夏へべすのリアーチャルことはじめの事前予告第二弾だよ!前回の配信で説明したとおり、番組はバーチャルサイドとリアルサイドを半分ずつで放送するんだけど、今日はまずバーチャルサイドからお届けします。今日のラインナップはこんな感じ。」
画面にはこんなテロップが表示された。
1.バーチャルサイド共演者発表!
2.オープニング曲初お披露目!
3.リアルサイド共演者発表!
4.エンディング曲初お披露目!
うん、台本通りだね。
「それじゃあ、まずはバーチャルサイドの共演者を発表するね!共演者は二人です。まずはこの人!」
へべすがそういうと画面の下から少しずつ姿が表示されていく形で西陣つむぎの姿が現れた!こんなふうに登場するんだ!
「こんつむぎー、はい、西陣つむぎだよ!」
「つむぎがついに復活します!」
アップになったつむぎの下には
西陣つむぎ(CV.岡里いろは)
と表示された。
「へべす、この姿では久しぶり!」
「ほんとうだよー!つむぎおかえりー!」
「あっ、へべす、もしかしてマジ泣きしそう!?」
「こんなの泣くよー!でも泣いてもいられない!がんばる!そんなわけでつむぎが見慣れた姿のまま、『西陣つむぎシーブイ岡里いろは』としてパワーアップして帰ってきました!後ろに何やら付いたのは?」
「うん、リアルで私は声優として活動しているからね。西陣つむぎの魂ネームをきちんと公開することにしたんだ。」
「この形式って、ウニシィちゃんと同じだよね。」
「そうそう!角形さんのやっているウニシィちゃんと同じ!角形さんとはこの前、ドルプロのスマ生で共演させていただいたんだけど、ウニシィちゃんのことをすごい大事にされていたよ。あんな感じで私も頑張る!」
「こうやって、話をしているとやっぱりいろはとつむぎって声全然違うもんだね。」
「つむぎはつむぎだし、いろははいろはだからね。それは大事にしたいなって思ったよ。」
「改めて初期のコラボ配信とか見てみたんだけど、はじめからいまの感じが完成されていたよね。」
「MeTuberとして実写配信していたときから声を変えることを意識してやっていたから、それが大きいんだと思う。」
「なるほどね!つむぎとの話もなかなか尽きないんだけど、今日はもう一人レギュラー出演者を紹介しないといけないんだ!それじゃあ登場してもらいましょう!どうぞ!」
いよいよ私の出番だ!緊張するなあ!さっきのつむぎと同じように私のアバターが少しずつ表示されていく。全身が表示されたところでへべすが感嘆の声を上げた。
「すごい!見ただけで誰か判るね!」
「本当だ!」
「じゃあ、自己紹介をどうぞ!」
「みんな、こんばんはー!早緑美愛だよ!」
「三人目のレギュラー出演者は早緑様でした!早緑様はVTuberデビューだけど名前も姿もそのままだねー!」
「うん!声も特に変わらないから私がそのままバーチャルにいった感じだよ。なんか不思議な感覚!」
「早緑さんとはVとしては初めましてだね!」
「そうだ!西陣つむぎさんとは初めての共演だ!」
「こっちでも美愛って呼んでいいかな?」
「もちろん!私はつむぎって呼ばせてもらうよ!」
「良かった!美愛、よろしくね!」
「こちらこそ!」
「こんな感じでバーチャルサイドは、西陣つむぎ、早緑美愛、そして私日向夏へべすでお送りします!」
自己紹介のあとは軽くこれからの展開とかについて話をしたあと、オープニングソングの公開まで収録した。今日は配信のみで1時間尺ということもあって問題ないけど、通常番組になったら12分尺ずつになるからもっとコンパクトにまとめないといけないんだね。話を広げすぎないように気をつけないと。
スタジオを出ると三塚プロデューサーが声を掛けてくれる。
「お疲れ様でした。では、次はリアルサイドの収録に入りますので、着替えをお願いします。」
「「「はい!」」」
楽屋に戻って、三人であれこれ話をしながら着替える。一番楽なのは彩春で、その次は私。朋夏はまだ慣れていないみたいでウイッグを付けるのに手間取っていた。
「ウイッグってけっこう大変だね。」
「慣れると着脱も楽になるけど慣れるまではねー。」
「美愛、あっという間だったもんね。」
「さすがにもう慣れたよ。そうだ、ウイッグってけっこう汗を吸うからお手入れ気をつけてね。」
「えっ!?そうなの!?」
「うん。私は予備をたくさん用意した上で、事務所経由で専門の業者さんに依頼して手入れしてもらってるよ。」
「沢辺さんにいって、私もそうしてもらおうかな。このウイッグ特注だから今のうちに予備を用意しておかないと。」
「へべすは毎日使うわけじゃないから私みたいに30個とかはいらなさそうだね。」
「えっ美愛、そんなにウイッグ用意してるの?」
「私の場合、けっこう汗をかくから。ライブの時とかはリハと本番で2つ使うこともあるんだ。それと業者さんに依頼すると返ってくるまで時間が必要だから予備がたくさんいるんだよね。」
「早緑様にその辺はいろいろと聞くと良さそうだね。」
「うん、私で判ることなら何でも!」
「頼りにしてる!」
三人でスタジオへ戻るとカメラが設置されている。そうか!実写になるからか!
「お疲れ様です。早緑さんは初めてになるかと思いますが、リアルサイドの収録はこんな感じでカメラで撮影したものにバーチャル側と同じ背景を合成する感じで実施します。」
「わかりました!」
「では、リアルサイドの収録をはじめます。」
「「「はい!」」
スタジオに入ると最初の進行はいろはが進めるので先ほどと異なり、いろはが一人でスタンバイする。私たちは
「Vまわります。5、4、3……。」
「……あらためまして、岡里いろはだよ!ここからはリアルサイド!事前告知にもあったようにへべすがついに顔出しリアル出演します!じゃあ、入ってもらうね!へべす!」
下手からカメラの撮影範囲に入るへべす。ちょっと緊張している感じ。
「しめなったか!日向夏へべすちゃが!」
「へべすがついにリアルで出演しました!」
「いやあ、緊張するね。」
「でも、バーチャルのへべすそのままだね!」
「まあ、本人だから!」
「姿がほぼ同じだからなんかバーチャルにいる気分だよ。なんか不思議だなあ。それ、衣装もおととしくらいにお披露目したのと一緒だよね?」
「うん、一番リアル衣装にしやすかったのがおととしから去年にかけて使っていた衣装でね。どう?いい感じ?」
「うん、すごいいい感じ!」
「よかった!」
「じゃあ、この辺でMCをへべすに戻すね。」
「戻された!」
「えー、戻すよ!へべすの番組だし!」
「そうだね、じゃあここからは再び私がつづけるよ!もう一人リアルサイドの共演者がいるので呼ぶね!早緑様!」
「あらためまして、こんばんは!早緑美愛だよ!いやあ、へべす、本当にすごいね!」
「早緑様にもそういってもらえると自信が付くね!」
この流れのまま、三人で雑談をしたあと、エンディング曲をお披露目して、締めとなる。一通りの収録が終わってほっとするまもなく、三人とも次の予定へすぐ移動。私はFM kanagawaのコーナーゲストで生出演なのだけど、スタジオではなく、みなとみらいのキングスモールで公開生放送なのでさみあんモードのまま、太田さんの社用車で移動する。太田さんは私を送り届けると今度は瑠乃とFM kanagawaの本社前で待ち合わせをして、あいさつ回りでFM kanagawa、テレビ横浜、ラジオ讀賣を巡るという慌ただしいスケジュール。生放送が無事に終わり、楽屋に入ったタイミングでこちらへ戻ってきた。帰りは瑠乃と一緒になる。
あとはマンションの1803号室で配信のリアルタイム視聴を残すのみ。どうかいい反響でありますように。
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