第136話○配信スタジオ大崎見学会!
レッスンが終わって16階の休憩スペースでクールダウンの休憩をしていると明貴子と圭司が何やら紙を差し出してきた。
明貴子「雨東先生と分担して、アドバイスをメモしておいたよ。ざっくりしているからわかりにくいかもしれないけど。」
圭司と明貴子がすごいわかりやすくメモをまとめてくれている!やっぱり文章を書く人たちっていうのは「文章で表現する」ということに慣れているんだろうなあ。
紗和「みんな本当にすごいね。瑠乃と二人でただただ感心してみていたよ。」
瑠乃「私はアイドル修業で演技のレッスンもはじめたけど、まだまだみんなとの距離があることに気がつかされた。日向夏さんって普段演技のレッスンしていないんだよね?」
朋夏「前に雨東先生の全作耐久朗読をするときにオンラインでレッスンを受けたくらいかなあ。」
彩春「へべすも声優できそうなんだけどね。」
朋夏「うーん、つむぎと一緒に演技できるのは面白いけどね。あー、でも、演技とかのレッスンを受けるのはありだなあ。配信にも生かせそうだし。」
そんな話をしていると沢辺さんがやってきた。
沢辺「皆さん、お待たせしました。それでは、20階へ行きましょう。」
今日はレッスンのあと、20階の配信スペースを見学できることになったのだ。正式にオープンすると大崎のタレントなら誰でも入れるようになるけど、まだ若干機材の配置変更とかをしている部分もあるそうで、必ずマネージャが立ち会って、専用のキーではいることになっている。
沢辺「はい、20階に着きました。まず、ここがエントランスです。」
エレベーターを降りるときれいなエントランスが広がる。すぐ左の壁に「配信スタジオ大崎」のロゴが誇らしげに掲示されている。
朋夏「正式にオープンすると5機あるエレベーターのうち、一番右の1機が外部の方も利用できる20階直通専用になるんだって。」
朋夏は、彩春と一緒にこの施設のアドバイザーをしているから内部事情にも詳しい。
沢辺「日向夏さんのいうとおりで、外部の方もここを使うので、そんな感じになるんですよ。」
エレベーターの運用が変わるのね。そういえば1階で工事していたのはそれなんだなあ。
沢辺「まず、エントランスに面したところから2つ並んでいるのがM03、M04スタジオです。御苑の方から01、02、03、04と振っています。スタジオの向こう側に二つ並んでいるのがL01と02ですね。奥に見えるのが一番大きいLLで、ここからは見えませんが、廊下を曲がるとM01と02、M04の裏には美術倉庫があります。お手洗いの向こうには配信までの待機とかでも使えるように会議室が二つ設置されています。今回みんなに使ってもらうのはL01になります。」
沢辺さんの説明を聞きながら、L01スタジオへと入り、中の説明をしてもらう。本当にテレビ局のスタジオのような広さと作りになっている。でも副調整室がスタジオのすぐ横にあって、ガラス張りになっているのはラジオ局みたいで面白い。テレビとラジオのハイブリッドっていう感じかな。
その後は、一番大きなLLスタジオを見せてもらう。
瑠乃「すごい!新宿御苑が一望できるよ!」
明貴子「これは日中の配信だと緑がきれいだねえ。」
沢辺「クロマキーを使うときは窓の手前にある幕を全部下ろして、窓の外に設置したカメラの映像と合成する感じになります。」
心菜「そうなんですね!」
彩春「じゃあ、へべすとここを使うときはそんな感じだね。」
朋夏「ここでみんなと配信してみたいなあ。」
沢辺「そのうち機会もあると思いますよ。」
一通り見学が終わり、沢辺さんにお礼をいって、再びリムジンに乗り込む。帰りは瑠乃と明貴子も一緒だ。なんとなくみんな予想していたとおり、「ご飯食べに行こう!」と朋夏が提案して、朋夏が予約したレストランまで向かうことになった。
朋夏「この前、
彩春「クリスちゃんと何処でオフコラボしたの?元気だった?」
朋夏「企業案件でつくばの方まで8人でお金出し合ってリムジン借りていったんだけど元気だったよ!つむぎにも久しぶりに会いたいっていってた!」
彩春「へべすは本当にリムジンでどこにでも行くよね。」
彩春が半分あきれている。
明貴子「リムジンをこんなに使いこなしている人は初めて見たよ。印税とか一応それなりにお金はもらっているけど、リムジンはおろか、タクシーですら使う気にはなれないもんなあ。」
朋夏「大崎の作家文化人ランクトップの朱鷺野先生なら余裕でしょ!」
明貴子「私一位なんだ!?雨東先生じゃないのね。」
圭司「いや、仕事の幅が全然違うよ。俺はそんなにたくさんの作品書いてないし、ドラマ化とかアニメ化とかも多いじゃん。よくあんなに書けるよね。」
瑠乃「明貴子って、一度書き始めると部屋にこもったまま何時間も出てこないからね。」
明貴子「そのかわり単行本書き下ろしは土日しか書かないけどね。」
私はふとした疑問を聞いてみる。
未亜「一日でどれくらい書けるんだろう?」
明貴子「うーん、単行本一冊で完結する作品だとプロットをまとめるのを別として、私はだいたい一日で書くよ。」
圭司「えっ!?10万字を一日!?」
圭司がものすごい驚いた顔をした。紗和が首をかしげながら質問をする。
未亜「それってすごいことなの?」
圭司「俺は一日で書けるのって多くても1万字がいいところ。」
明貴子「続き物とはやっぱり違うよ。私も前は連載形式で長編書いていたけど、前に書いたこととの整合性を確認するのが手間で、基本的に一気に書き上げられる単行本一冊完結が多いかな。」
圭司「確かに一冊完結はその辺が楽だよね。」
明貴子「連載も必要な回数を充たす文字数を一気に書き上げて全部あらかじめ渡しちゃう。」
圭司「そんな方法なの!?」
明貴子「前に書いた内容を思い出して続きを書くっていうのが苦手なんだよね……。」
圭司「それはすごいなあ……。俺もそろそろせまじょとか雑誌掲載の読み切り短編以外に単行本書き下ろしの中編とかも書いていくかなあ。」
朋夏がすごいワクワクした顔で圭司に話し始める。
朋夏「書くとしたらやっぱりファンタジーもの?」
圭司「そうだね。異世界恋愛ものとか、リクエストが多いから書いてみたいなって思ってる。」
明貴子「それ読んでみたい!」
圭司「恋愛作品の大家である朱鷺野先生にそういわれるとプレッシャーが!」
そういいながらも圭司はまんざらではなさそう。どんな作品になるのかな。楽しみだ!やっぱりみんなそれぞれいろいろ考えながら日々を送っている。私も未来に向けて一日一日を圭司とそしてみんなと一緒に頑張っていこう。
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