第050話○名古屋公演当日です!

 まさかの事態が起きたけど、今日はツアー三カ所目、名古屋。気持ちは切り替わった。いくよ!


「本日は早緑美愛ライブツアー『First Impression』名古屋公演へお越しいただきありがとうございます。まもなく開演いたします。ロビーにいらっしゃるお客様は会場内へお入りください。」


 場内アナウンスが入る。よし!


「みなさん、ステージ脇で待機をお願いします。」

「「「「「はい!」」」」」


 ここもステージ入り口が一カ所しかないので同じ場所で待機する。


「よしっ、みんな行くぞ!」


 札幌に続いて、名古屋でもうたのかけ声がかかる。


「名古屋公演、行くぞ!ファイトー!」

「「「「「おーっ!」」」」」


 ここもまずはバンドメンバーがから。続いてイントロと同時に私が入る。いまは集中だ。


 ♪~


 イントロが入って、スタッフの合図が出る。名古屋のみんなもよろしく!


 ステージに出た。すごい歓声が上がる。問題なく声が出ている。よし!いつものようにCメロ前の間奏まで来た。会場は完全に埋まっている。関係者用スペースに圭司がいるのが判る!うん、今回も絶好調!


 2曲目のメンバー紹介はいつも通り。名古屋も5曲まで順調だ。


「名古屋のみんなー!美愛が来たよー!お待たせー!!!」

「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」


 名古屋のみんなも喜んでくれているのがよくわかる。!


「さてさて、今日は早緑美愛ライブツアーFirst Impression名古屋公演へようこそー!今日もここで水飲ませてもらうね!」


 ここでも水を飲む。給水は大事。


「『アイマイ』から『センチメンタルにはならない』まで一気に五曲!名古屋のみんなもノリノリで嬉しい!今日は一日楽しんでいってね!じゃあ、次の曲にいっちゃうよ!」


 ここからはポップス系の楽曲を4曲歌うゾーンだ。いままでの会場よりもノリが良い。


「4曲立て続けに聴いていただきました!なんかこれまでの中で一番乗りが良かったね!名古屋のみんなはポップス好きが多いのかな?名古屋とか名古屋の周りとかに住んでいる人はどれくらいいるのかな?みんな手を挙げてみて!」


 ほとんどの手が上がる。やっぱり地元のファンが多いみたいだ。


「東京からの遠征組はほとんどいないんだねえ。各地に私のことを応援してくれる人がこんなにいると思うとむちゃくちゃ嬉しい!」


 プロンプタから『ここで東京公演が即日完売したお礼をよろしく。完売は発売から10分。』という指示が出る。そか、そうだよね。


「そうそう、緊急配信を見てくれた人も結構いたかもしれないんだけど、東京公演の会場が急に使えなくなっちゃって、横浜公演になったの。会場がすごい大きくなるから不安だらけだったんだけど、昨日、追加発売したら10分で完売しちゃって。みんな本当にありがとう!」


 大歓声が返ってくる。


「『いけるよ!』っていう人は楽しみにしていてね!『行きたかったよ!』っていう人は本当にごめんね。まだまだ頑張って、もっと広い会場でライブ出来るようになるから待っててね!それじゃあ、ここでぐっと雰囲気を変える曲に行くよ!」


 中間のしっとりゾーン「渋谷バラード」そして「主役」だ。いままでよりもみんなが泣いているのがよくわかる。ここまで感動してくれて本当に嬉しいなあ。


「ここまでバラードをお届けしました。今回のツアーは事前にお知らせの通り、基本的にセトリは全会場一緒。でも次の曲はここだけ。ほかの会場も別の曲を歌ってるんだけど、全部ライブでは初披露の曲なのでほかの会場に来てくれる人は楽しみにしてね。それじゃあ、聴いて下さい。アイとは何か。」


 続けて「新たなはじまり」を歌って、次は新曲だ。


「2曲お届けしました。雨東先生のライブレポートを週KAKUで見てくれている人は知っているとおり、今回のライブではここで新曲をお届けしています。聴いてね。」


 4thアルバムで収録される楽曲から名古屋をテーマにした「広い道で向かい合う二人」を披露する。


「新曲『広い道で向かい合う二人』を聴いていただきました。これは名古屋を舞台にした曲なの。地元の方に喜んでいただけたら嬉しいなあ。そして、いよいよあと2曲でこの公演もお開きです。私のライブでは定番の2曲お届けします。最後まで盛り上がっていこう!」


 名古屋も定番の「幕が下りるとき」「カーテンコール」がラストだ。


「今日はありがとうございました!早緑美愛でした!」


 簡単なあいさつをして捌ける。アンコールの拍手、そして活動告知ビデオと続いている中、いつもどおり、楽屋で名古屋公演限定Tシャツに着替える。ステージ脇で待機する。みんなもう知っているはずの「今日歌った広い道で向かい合う二人を含む4thアルバムの制作決定」が流れるとやっぱり大歓声だ。ファンに恵まれているなあとしみじみ思う。


 アンコールではいつも通りまずはバンドメンバー、そして「ハートを捉まえて」のイントロと同時に私がステージへ戻る。


「みんな!アンコールありがとう!あと2曲いくよ!」


 これまでの会場と同じようにアンコールは「ハートを捉まえて」から「神様が微笑む森」と続く。


 名古屋でも五人で並んで手をつなぎ、せーののかけ声で

「本日はありがとうございました!」

 と締めた。折り返しの名古屋も大成功だよね!

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