第236話 小旅行

 私の名は、マーキ・コルゴス、折角馬車を貰ったので、

セブンスターダンジョンへ、一家3人で行くことにした。


 無理をすれば、1日でもいけるだろうが、無理をせず、

ニコス辺境伯の本拠地、サリラ町で1泊して行こうと思う。


 一つはもサリラの町もだいぶ発展してきているそうで、

もちろん敵情視察も兼ねてである。


 意外に思われるだろうが、道は割りと整備されている、

理由は、働き口のなくなった国民を、低賃金ではあるが雇用しているためである。


 コルゴスは馬車に乗り、一路サリラ町へ向かった。


 弱小の子爵では、御者も雇えない、勿論執事もいない、

馬車の運転は、自らおこなうしかない。


 走らせて見たら、びっくりだ、ほとんど揺れないのである、

中に乗っている妻にも聞いたが、ほとんど揺れず、

小さな布団みたいなものを、敷くとさらに快適だそうだ。


 それに1頭引きなのに、すごく速度が出る、

おかげでサリラの町に予定より早く着いた。


 サリラの町を見回していると、1軒の雑貨屋?に行列ができている。

よく見ると店員が、何かは売り切れましたと叫んでいる。


 ん、その横にいるのはニコス・マフテス辺境伯じゃないか、

向こうもこちらに気づいたらしくこちらに寄ってきた。


 「マーキ侯、久しぶりだな、元気そうで何よりだ」

 

 「そちらこそ、元気そうに見える、してこの行列はなんだ?」


 「実は、昨日ダンマスから雑貨の入荷があって、

結構いいものが揃っていてこの人気よ」

 「この絵札とか、いくらに見える」


 「おお、天然色で、しかも型が綺麗に揃っておる、10万ドラ位か?」


 「いや、1500ドラだ」


 「せ、せんごひやくドラだと・・・」


 「だから、この行列なんだよ、本当はもっと高く売りたいんだが、

ダンマスがうるさくてな・・・、その馬車も貰ったんだろ」


 「そうだが?」


 「それ、あのダンマスに言えば、家紋入れてくれるぜ」


 「そうだなあ、もう昼間まわちまってるし、明日一緒にあそこいかねえか」

 「娘が、向こう気に入っちまって、向こうに引越しちまったし、泊まっていくか?」

 「あいつから貰った、ぶどう酒もあるぜ」


 「あなた、せっかくのお誘い断るわけにも行きません、泊まらせていただきましょう」



 

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