第233話 提案

 「もし売る気があるのだったら、うちのダンジョンに倉庫がある」

 「一度くらい、見に来るといい、そして儲けた分は後進の育成に使って欲しい」


 「それと隣のニコスから聞いたのだが、土地の水はけが良く、

日中の寒暖の差が大きいと聞いたが、間違いないのか?」


 「確かにその通りだが、なにかあるのか?」


 「ぶどう酒をつくってはみないか?」


 「ぶどう酒?」

 

 「ここは、俺が知っている酒造りに向いている気がする」

 「酒は飲めるのか?」


 「飲めるが何かあるのか?」


 俺は、ワインを取り出し、グラスに注いだ。


 「シャブリという、ぶどう酒だ、毒は入っていないから飲んでみると良い」


 領主はも恐る恐るワインを飲んだ、「美味い、こんなぶどう酒があるのか!」


 「たぶん、後4,5年もすれば、これに近いものがここで出来るはずだ」

 「もし作る気があるなら、こんど苗木を渡そう」


 「一つ聞いていいか、なぜうちにそこまでしてくれる」


 「俺は壊すのは得意だが、作るのは不得意だ、

不得意を克服するために、がんばっている」


 「よくわからないが、うちにとって悪いことではないと分る」

 「ただ今馬車が壊れていて、修復に1週間位かかる、直り次第行こう」


 「そうか、じゃあ今回の補てんということで、馬車2台を進呈しよう」

 

 ダンマスが帰った後には、立派な黒塗りの馬車と、大型の馬車があった。

本当に気前のいいやつだ、仲良くして損はなさそうだ。


 部屋に戻ってくると、妻がひとり晩酌をしていた。


 「あなた、このお酒美味しいですよ、一緒に飲みましょう」


 たまには、一緒に飲むのもいいか、とっておきの干し肉を出した。


 

 

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