第103話 お嬢様の歓迎会

 こうして、ランチバイキングが始まった。


 メニューは、前回出したウ○スティンブュッフェと、

ドーミ○インPR○MIUM札幌のモーニングの一部である。


 「まずこちらから、このお盆を持っていただいて」

「こちらの軌条に沿って進みながら」

「あちらに並んでいる物を好きなだけ、取っていただいて」

「テーブルに持っていって、食べてもらう制度でございます」


 「そこにあるのは、どれでも好き放題持って行っていいのか?」

「これはなかなかに、面白いな、ふむ」

「何か戦場で配る、配給にちょっと似てるな」


 「でもお父様、戦場ではこんなに種類はないのでわ」

「それに見た目もいいですし、匂いも良い匂いがしますわ」


 「で、どの料理がお薦めなのかね?」


 で、俺は「全部お薦めです」と言いたかったが、

ローストビーフとラムレッグを薦めてやった。


 横から執事のセバスが口を挟んできた。

「お待ちくだされ、この肉はまだ赤く、生ではないですか?」

「こんなものを食べたら、たちまち腹を壊してしまいますぞ」


 俺はしょうがないから言ってやった。

「これで、ちゃんと火は入ってます」

「これで、万が一腹壊したら、エリクサーあげますよ」


 「「「エリクサー」」」三人がハモった。


 なんでも領主は、いつ何があるかわからないので、

上級、エリクサーの確保は、超重要事項らしい。


 「わかりました、このセバス、命に替えましても、これを食べて見せましょう」


 いろいろ選んだ結果、ワゴンでVIPルームまで運んでやった。

こうなるだろと思い、ちゃんと用意しておいたのだ。


 早くしてやらないと、後ろで待っている、子供たちが可哀想だ。


     ★  ★  ★


 こうして、VIPルームで、セバスがローストビーフを食べた。


 「う・・」「セバス大丈夫か?」

セバスは無言のまま、残っていたローストビーフを全部食べてしまった。


     セバス視点

 

 なんだこの肉は、こんなに柔らかく、うまい肉は食ったことがない!

しかも、ちゃんと火は通っているみたいだ。このままでは、腹は壊さない。

しかしエリクサーは欲しい。ここは食べ過ぎで腹を壊すしかない。


 セバスはありったけの、ローストビーフを持って来て食べ始めた。


 あ、こいつ食べ過ぎで腹壊すつもりだ・・。恐るべし。


 「わかった、もう食べなくていい、忠義に免じてエリクサーを渡そう」

領主め、いい執事もっていて羨ましい・・。


 ちなみに、セバスはその後、「甘いものは別腹」と甘味も食いまくっていた。

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