第57話 2匹のドラゴン

 ルガトルポ公国には、昔からドラゴンが住みついていた。


 この星に文明の灯が、生まれようとしていた、今から約3500年前。


 ある使命を持ってこの星にやってきた。

 

 「この星に、新たなる文明が生まれた」

「特に何かをすることはない、沈黙をもって諦観してほしい」

「もし、この星が滅んだ時は、報告をして欲しい」


 「わかりました」


 こうしてドラゴンは、この星の文明を見守った。

友がいるわけではなく、いつ終わるか、わからない長い長い時間を、

たった1匹で・・。


 朽ち落ちる肉体の再生にも限界があり、ドラゴンは、

およそ千年から千二百年で、完全リフレッシュをおこなっていた。


 キョウ暦2081年の、現在は、

「ヨン」という名の四代目ドラゴンが、その使命を実行していた。


 先代は、一子相伝の秘術により使命を引き渡し、みんな消滅していった。


 ところが、今から200年前、奇異荒唐(とんでもないこと)は起きた。


 ダンジョン協会が、なんと、もう消滅して、いないはずの、

三代目ドラゴン「ロン」を召還してしまったのである。


 こうして一世代に、1匹しかいないはずのドラゴンが、

2匹になってしまったのである。

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