#18 僕の決意。


「…おはよう、お兄ちゃん」

「おはよう、真唯ちゃん」


 翌朝…。僕たちの日曜日はこんなやりとりから始まった。なんだがとても幸せな気持ちで始まる一日、僕は今それがたまらなく嬉しい。


 真唯ちゃんは朝食の後に美晴さんと尚子さんに送られて帰宅していった。真希子さんも介護施設から夜勤を終えて帰ってくるようで、それよりは早く帰宅するという意味もあるようだ。


「そう言えばこれ…、外泊だね」


 朝起きてしばらくした頃に真唯ちゃんが少し照れたように呟いていたのが印象的だった。いや、改めて口に出して言われると恥ずかしいんですが…。彼女いない歴=年齢な僕にはどうして良いか分からない、まさに対応に困る状況だった訳で…。


 でも、改めて一つ確信した事がある。


「やっぱり、家族は一緒が良いな…」


 僕は改めて呟いた。新たな決意と共に。



 河越八幡警察署内での日曜日、僕は昼食をいつもの食堂ではなく署長室で摂っていた。


「少年、明後日で研修が終了する訳だが…。本当にするのか?記者会見をさ」


 署長さんがそんな声をかけてきた。


「はい。そのつもりです」


「って事は…、高校は…」


 美晴さんが呟く。


「はい。どこを志望するかはすでに決めてあります」


「そうか…」


 署長さんはそう言って僕をまっすぐに見つめた。僕も…、まっすぐに見つめ返した。それを見てか署長さんはニヤリと笑った。


「分かった。そのように県警本部とマスコミ各社には伝えておく」


「ありがとうございます、署長さん。それと…、あの人たちも呼ぶ事は出来ますか?」


 僕は署長さんに尋ねた。


「ああ、一報を入れりゃそれこそ飛んで来るだろ」


「それなら是非お伝えいただけると。僕は口下手なとこもありますし…。一緒に会見場にいていて欲しいと…、どこの学校に進学希望するか僕の心は既に決まっていますのでとだけ伝言していただけますと…」


「分かった、任せてくれ」


「よろしくお願いします」


 もう四月も終わりだ。おそらくゴールデンウィーク明けが僕の高校生活のリスタートになるだろうけど、その前にやってるおきたい事がある。


 僕のケジメ、意思表示みたいなものを。決戦は火曜日、さあやってやるぞ!




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