「わたしの世界は色で溢れていた」

「この虚しさもいつかは薄れていくのかもしれない」とキャプションにある通り、お題である異能が薄れていくお話です。
 共感覚を持った主人公が見えている世界の美しさ、そして繊細さ。それが理解されない孤独、薄れていく色……。
 静かな絶望と諦めと悲しみと孤独をしっとりと描いた作品です。
 雨が降る日に静かなカフェとかで読みたい一作でした。
 作中で描かれている色の表現とかもすごく素敵で、文字で読んでもとても面白いですし、これが絵や映像になったらさらに綺麗なんだろうな……と楽しく読むことが出来ました。
 じんわりと心に沁みる3000字とは思えない満足感の得られる作品でした。