第106話 申請書
異世界斡旋所side
「あ〜、かったるい。」
おばさんに扮した女神が面倒臭そうに書類にハンコを押していた。
「もう駄目ですよ、女神がそんな言葉を使っては‥。」
近くにいた天使に注意をうける。
「誰もいないからいいでしょ!
それより、私の休暇はどうなったの?
早く彼に逢いたいのに‥。」
おばさんが愛しの人を思い出したのかクネクネしている。
『そんな感じだから休暇の許可がおりないのでは?』
天使は心の中で想像するのであった。
「あっ、ちょっと喉乾いたからお茶飲んでくる。」
天使からの反応を待たずにおばさんはそそくさと部屋から出て行ってしまう。
自由奔放だなと思う天使に突然アラームの音が聞こえる。
何事かと身構えていると2枚の申請書が現れる。
「アラームが鳴ったと言うことは急ぎの案件ですね。」
本来女神が読むはずの申請書を天使が見てしまう。
「何なに‥
1枚目は臓器の移植‥
2枚目は天使のスペアボディを送れと‥」
天使が申請書を調べると女神が気にしている人間であった。
臓器移植ということは何か病気でもしたかな。
天使はよく調べずに勝手な想像をした。
天使のスペアボディは‥よくわからないですね。
まぁ、女神も彼が困っていたら許可しますよね?
天使は女神に確認も取らずに置いてあったハンコを勝手に押すのであった。
「よし、これで終わり。
さぁ、私もお茶に行こうと。」
先を急いだ天使は申請書を処理済みの箱にいれて部屋から出て行った。
この申請書に女神が気がつくのはかなり先の話であった。
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