第29話 最近女神が服を着てくれない

ラーメンは昼作ったからイメージも簡単だ。スープをどうしようと思ったけど、万能さんが北の大地から取り寄せてくれた。あ、この店知ってる。

具はもやし、白菜、豚コマとシンプルに。

同時に餃子作り。と言っても餃子の皮に、ニラ・豚挽肉・ニンニクと、昼間には食べられない口がくっさい餡を一個見本で包んだら万能さんが続けてくれた。勝手に完成して炒められていく餃子。

では私的に今日のメイン、炒飯に参ります。

中華鍋を出してもらい、葱油をざっと掛け回すと玉葱を飴色になるまで炒めます。具は焼豚、ナルトをサイコロに刻んだもの(ナルトが町中華風)。ご飯が充分に炒まったら塩、醤油で味を整え胡麻油で香り付け。実は何気に野菜たっぷり和式中華セットの完成です。

ミズーリの感嘆の声と涙、テーブルをバンバン叩く音はいつまでも止まりませんでした。


後片付けを終えてバンガローに戻ってみるとミズーリが床で溶けている。

「この絨毯、気持ちいいの。気持ちいいの。」

そりゃまともに買うと高級車が買える値段の絨毯ですから。あと低脳化が始まってますよ。

低脳童女は放置してテーブルに改めて地図を広げる。

「明日中にはこの辺で一番大きな街に入れるの。」

うっとりとした声が床から聞こえる。

該当するスタフグロの街は昼間から私もチェックしていた。

「そこまで行けば何かが起きるの。」

「何か、か。」

「何も起きなければ起こすの。」

トンチキ女神がおかしくなったので入浴するよう命ずる。


しばらく地図に思い付いた事を書き込んでいると童女女神が服を着ないで浴室から出てくる。

ニッコリ微笑むと私の足元で寝転がってゴロゴロあっち行ったりこっち来たり。何がとは言わないけど丸見えです。

「やっぱり気持ちいいわ。この絨毯。想像通りの肌触り。」

声も落ち着いたし、低脳化は治った様だが下品ぶりが悪化したので、

「土下座します。」

女神が自分から土下座を始めた。

「このポーズだと、ちっぱいなおっぱいが大きく見えるでしょ。」

…もしかして最初から企んでましたか?

「トール攻略の為なら。」

なるほど。


風呂から出てくると、さっき作ったトイレからこれまた下品な叫び声がしてくる。

そして室内着を上だけきて下半身すっぽんぽんの女神が飛び出して来た。

「トール。ボタン押したらアソコを何かに突かれた。」

「女神にトイレは必要なかったのではありませんか?」

「無いわよ。でも出せない訳では無いの。何事も経験。」

しかし、ミズーリの性格を考ると予想通りの行動と反応でした。とりあえずぱんつを履きなさい。

「このままじゃダメ?」

駄目です。というか、ご開帳の連続に私もう引いてます。ドン引きです。

「やり過ぎました。はっちゃけ過ぎました。ごめんなさい。控えます。」

止める気は無いんだ。

あと土下座の前にぱんつ履きなさい。

「神様の本性なんてこんなものなんだからね!」

うるさい。あと何でツンデレ?


そのまま翌日の行動予定を決めると私達はベッドに入った。私の隣で寝ると多幸感に包まれると言ったミズーリは私の腕を抱えたら、直ぐに寝息を立て始める。

その幸せそうな顔を見る事も楽しいのだが、娯楽というものがこの生活には無い。

そういえば、私が死んだ夜に読んでいた推理小説。あれの結末どうなっているのだろう。

気持ち良く騙されると聞いて読み始めたものだ。読みたいなぁ。

いやいや。万能さん。読みたいとは思いましたが何これ。読んでいないものを私がイメージできる訳ないでしょ?

え?記憶ではなく私の前世の世界をそのままトレースした?あ、本当だ。私の寝室にあった本棚が置いてある。

精神安定も仕事のうちだから、何でも出来ますよ。ですかそうですか。

なら甘えちゃいます。その晩、私は寝落ちするまで読書を堪能しました。

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