七章 侵略阻止でオンライン

第41話

「こしあんくんを見守るスレ。ってのが立ってるけど」


 ボッチリオさんがそう言いながらメニュー画面を操作しているとき、僕は生存者数を見ながら『このままだと拙い気がする……』なんて、今更ながら考えていた。


 このイベント空間に立てこもってから既に五日目。最初は悪ノリのつもりだったんだけど、それによって引き起こされた事態を収拾する術を見失っていた。


 結果から言えば、僕たちが立てこもってもイベント自体は止まらなかった。翌日も新たな挑戦者がこの空間に転移させられ、中央のシンボルを目指すハメになる。まあ、そこまでは良いんだけど……。


 中ボスを倒してシンボルのある部屋に入った途端、僕の傀儡人形たちが問答無用で襲いかかる。それは敵味方関係なく。


 自分で言うのも何だけど、最強クラスの武器防具を贄にしてるので、僕の傀儡人形は非常に強い。多分、一斉に襲いかかられるとヴァネッサでもロストするレベル。


 じゃあ傀儡人形たちを消せよ! と思われるだろうけど、これが消せない。HPがなくなるまで存在し続けるらしいのだ。しかも最初に出した命令以外は聞いてくれないという頭の悪さ。放置して、そのうちロストしてくれるのを待つしかない。


【味方生存数:67 敵生存数:77】


 でもその頃には味方生存数が半数を割りそうな予感も。この事態をどうにかするのが、目下の課題であり急務でもある。


「何が書かれてるの?」

「URLを転送するから、自分で覗いてみなよ。くくっ」


 何その笑い。物凄く色々含まれてるような気がするんですけど。



 ◆こしあんくんを見守るスレ part6


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 487:名前:メガネの名無しさん

 で、メイダス側も生存者が減ってる……と(笑)


 488:名前:メガネの名無しさん

 中ボス倒したらボス(こしあんくんのシモベ)が十体待機してるとか、普通に考えて無理ゲー。


 489:名前:メガネの名無しさん

 まあでも、このままだと日本人側の負けは確定だね。


 490:名前:メガネの名無しさん

 勝敗より運営の動向が気になる。


 490:名前:メガネの名無しさん

 やる必要のない侵略を人気取りのためにやった奴らだからな。


 491:名前:メガネの名無しさん

 大胸筋を満遍なく愛でるスレがあると聞いて。


 492:名前:メガネの名無しさん

 >491 ここだよ。


 493:名前:メガネの名無しさん

 >492 俺らにそんなもん、ないだろ。


 494:名前:メガネの名無しさん

 >493 かまうから湧くんだよ、ほっとけ。


 495:名前:メガネの名無しさん

 箱少女のノリシロは萌える。


 496:名前:メガネの名無しさん

 それな。


 496:名前:メガネの名無しさん

 それな。


 496:名前:メガネの名無しさん

 それな。


 496:名前:メガネの名無しさん

 それな。


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「僕の話題より箱少女? のことで盛り上がってるね」

「あ、今はそんな流れなんだ。さっきまでは『こしあんくん、もはや魔王』とか『確信犯的にシモベを放置してる』みたいな話題だったのに」

「魔王って……」

「この現状を見たら、誰だってそう思うよ」


 特別広くもない部屋の中に悪魔的な傀儡人形が十体。グオォォとかギャオォォと鳴きながらウロウロしてる。シンボルの前でそれらを操ってる(操れてない)のが僕。その一部始終を、ボッチリオさんが生配信してるから始末が悪い。


 もう本当に。どうしようかな、この状況。

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