第16話

 あったよ、ありましたよ!


 みんなが着用してるから、僕もメガネをかけたくなった。でもそんなアイテムは持ってないし……と思って色々探したら錬金スキルLV1で作成できるらしい。材料は地中で入手した木の根でいける。早速、作ってみたのがこれ。



 ウッドフレーム:レンズのない簡素な木製メガネフレーム。防御力+1



 なくても変わらないような防御力だけど、ないと目元が淋しい必須(違う)アイテム。当然、装備アイコンを開いて即装備したんだけど、そこで驚愕の事実が発覚。なんと今の僕は妖精の服(防御力0)しか身に着けていない状態らしい。


 まあゲームを進めてないどころか、ようやく最初の町に到着したばかりだから当然といえば当然か。でも服よりメガネの方が防御力のある件について。これでみんなとお揃いになったし、思い残すことなく冒険者ギルドに行こうと思う。



「こんにちは、冒険者ギルドにようこそ。今日はどんな御用ですか?」


 受付嬢は可愛い犬耳お姉さん。ケモナーじゃないからググッとこないけど、好きな人なら一目でファンになること間違いなし。当然のようにメガネを装着しているから、僕としてはそこだけが高ポイント。


「え~っと。冒険者登録……的な? そんな感じの用事で来ました」

「有難うございます」


 そんな会話の後、選択肢が目の前に現れた。


《プレイヤーとしての活動を始めますか? はい/いいえ》


 ここは迷わず、はい、を選択。


《クエスト情報が解禁されました》

《討伐数情報の表示が解禁されました》

《前作データが一部引き継ぎされました》

《スタートボーナス  1000Gを入手しました》



 色々アナウンスされたけど、要はこれから頑張ってね! みたいなことだろう。視界右上には【味方生存数:96 敵生存数:99】の表示が。これが討伐数の情報なのかな。それにしても、敵生存数ってなんぞや?


 そして前作データの引き継ぎ!


 これは素直に嬉しい。前作の全装備アイテムをコンプしていたので、その一部でもあれば戦闘がかなり楽になりそうだ。あ、でも妖精の体でそれが使えるのかは気になるところ。


「では、こしあんさんに今回のゲーム概要が書かれたメールを送付しますね」

「よろしくです」


 ここでようやく、このゲームにおける目的が聞けるようだ。まあRPGの目的なんて敵を倒すことに尽きるんだけど、一応読んでおこうかな。



 ☆━ ゲーム概要 ★.・・━☆


 皆さま、ごきげんよう。

 今回の惑星植民地化計画は一味違います!


 かねてからティーンエイジのメイダス人有志が希望していた、『僕も、私も、侵略ゲームに参加したい!』という熱い要望を吟味し、地球人100人vsメイダス人100人によるPvP企画を盛り込んでみました。


 地球側(本サーバーでは日本国側)が不利にならないよう条件は互角。でもこのスタイルのゲームをプレイし慣れているメイダス側にとっては、キャラメイキングからの成長予想がつきやすいので有利かな(笑)


 ルールは簡単!

 どちらかの陣営が過半数割れした時点で、勝敗が決します。(49人以下になった場合、そちらの陣営が負け)


 もちろんレベル上げ用のモンスターは無限リポップするので、レベル信者も満足度100%!


 そしてなんとなんと!

 自軍、敵軍問わず、PKした場合は、相手の固有スキルをひとつゲットできるオマケつき。敵のみならず味方にも警戒を怠ってはいけません。


 足並みを揃えて敵を撃破するか、それとも孤高の強者を目指すかはアナタ次第。さあ、それでは始めましょう。


 ※ そしてここだけの情報

 どこかに敵陣営のプレイヤーをごっそり殲滅する仕掛けを用意しました。探してみてね。


 ☆━ それではレッツ、キル ★.・・━☆



「…………」


 フザケてる。めっちゃ明るくて軽やかな文章だけど、フザケまくってる。しかもメイダス視点で書かれているのも嫌な気分だ。(笑)じゃねーよ、(笑)じゃ!


 奴らにとって侵略はゲームなのか。確かに絶対的な力量の差はあるかもだけど。ただ、無血戦争を仕掛けているといことだけは分かった。その事実だけでも儲けものと取るべきか。


 しかし敵だけじゃなくて、もしかしたら味方にも狙われるリスクがあるとは……。僕のHPだと一撃だろう。後回しにしてたけど、入手したアイテムで早急にビルドアップをしなければ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る