第74話 わし 大きな前進と後退


わし 私室


わし「申すぞ」


ジアンビ「はい、大丈夫です」


わし「電話開通だな」


ジアンビ「凄いですねこれ40キロ離れてるんですよね」


わし「そうじゃ、ところで、お前には残念なお知らせがある」


ジアンビ「こ…怖いですね…何でしょうか?」


わし「ヨミが救出された、マルス自由都市の利権はジアンビの物にならんな」


ジアンビ「ああ、そうなんですね、まぁでも良いです」


わし「代わりと言っては何だがジアンビを右大臣にする」


ジアンビ「ほほほほ…ホントですか!!」


わし「うむ…ではリバティ港湾都市や各主要都市にも電話事業をよろしく頼む」


ジアンビ「はは!!」


ガチャン


ついに電話が開通した、もしもしの語源は「申します」から始まった、もしもしを浸透させて行こう(笑)



アリア「凄いですね!!声が飛ぶなんて、まるで魔法です!!」


わし「厳密には声を電気に変換してるから、声は飛んでない、電線を流れてるだな、音を電気に変える送話器と、送られた電気を音に変える受話器で構成されている」


アリア「………。」ぷすぷすぷす…


わし「まぁそう言うモンだと覚えておけば良い」




コンコン




アキナ「アキナです」


わし「入れ」


アキナ「報告します、廃藩置県に関してですが、7割り近くの貴族が賛同してくれました、賛同と言うより大喜びでした」


わし「ふむ、ますます中央集権化が進むな」


アキナ「しかし、多くの商人が貴族にお金を貸していて、物凄い不満が溜まってます、苦情だけでもこれだけあります」


ドスン…


わし「わはははははは!!狙い通りじゃ、返済してやるじゃ無くてチャラにしたからな」


アキナ「どうするんですか?」


わし「西部開拓地に移り住んだら、商人が貴族に貸した金を全額保証してやると言え」


アキナ「なるほどです♪」


わし「金は返ってくるし税金は安くなるはで、文句は無いだろう、そもそも金を出させる為の政策だしな、現地に居なくても証券会社使って投資出来るし、たぶん商人には「かもかも詐欺」は通じんだろうし」


アキナ「確かに素晴らしいですね!!」


わし「あとリゾートにはカジノや公営賭博じゃな、競輪と競馬も作ろう、公共事業も増えるしな、金持ち貴族や商人から金を巻き上げる、競馬や競輪の詳細は指示書を書く」


アキナ「分かりました、私からは以上です」


わし「うむご苦労」


アキナ「失礼します」



バタン…



アリア「何か楽しそうです」


わし「まぁ悪巧みは得意だからな」


アリア「そうでは無く、アキナさんとマルス様の会話が楽しそうで、イラッと来ます」


わし「くだらんな、嫉妬心を抱くと、脳内では神経伝達物質のドーパミンとノルエピネフリンの分泌が増える多ければ多いほど相手に依存し攻撃的になったりする、ちなみに自己肯定感が低ければ低いほどこの量が増えるな」


アリア「どうすれば良いですか?」


わし「わしは圧倒的に自分に自信がある、人が離れて行ったら、わしに魅力が無かったで自己完結出来るからドーパミンとノルエピネフリンの分泌は少ないだろうな」


アリア「具体的にはどうすれば良いんでしょうか?」


わし「前にも言ったが、自分の付加価値を作る事だな、努力や学習によって、後天的に得られる物が殆どだが、身体能力に関しては天性の物が多いかな」


アリア「最近…剣の時代が終わるんじゃ無いのかと思って…そうなったら私は用無しですよね?」


わし「わははははははドーパミンとノルエピネフリンの分泌が増えてそうだな」


アリア「笑い事じゃないです、マルス様に捨てられる」(泣)


わし「じゃあ語学や銃の腕を磨くのはどうじゃ?誰よりも銃や語学が上手いと感じれば自己肯定感が強くなるだろう」


アリア「出来ますでしょうか?」


わし「何事も一歩づつじゃな、やらない限り上達はせん、例えば銃はそこそこで語学が堪能で剣が達人なら、凄く付加価値の高い人間になる、どれも努力によって後天的に得た能力じゃろ」


アリア「た…確かに♪」


わし「自信の無い人間は極めたがるが極めれば良いってもんじゃない、汎用性の高い人間を目指すべきじゃ、個人的な意見じゃが、銃を持つならスナイパーじゃな」


アリア「何でですか?」


わし「まぁ…安全だし…怪我して欲しく無いしな」


アリア「私が大切って事ですか??」


わし「う……まぁ…一応…」


アリア「嬉しいです!!ドーパミンとノルエピネフリンが減った気がします」


わし「まぁそんなもんじゃ、自分の価値は努力によって創造するしか無い」



人間って単純に出来てるな…



コンコン



影部隊タオ「ヨミ様を救出し連れて来ました」


わし「はいれ」


タオ「ははっ!!失礼します」


わし「おおヨミか…久しいな」


ヨミ「………。」


うお!!すげーやつれてる…うわぁ…ボコボコだ…指とかもボロボロだし…髪も随分薄くなってる…


タオ「精神が壊れたやも知れません」


ヨミ「………。」


わし「ふーーむ」


ドン!!


ヨミ「ひぃぃぃぃぃいいい!!はいそうです!!はいそうです!!」


にたぁ……


わし「お前は右大臣をクビだ!!」


ヨミ「はい分かりました!!そうします!!」


わし「所領も没収だ!!」


ヨミ「はひぃぃぃ!!仰せのままに!!言う通りにしますから!!もう殴らないで!!」


わし「うむ…じゃあ、サインを書け」


ヨミ「はいもちろん!!」


カキカキ…


わし「よし逝ってヨシ!!」


ヨミ「はい!!すいませんでした!!」


タオ「では失礼します」



バタン…



わし「がはははは!!これでヨミ一派の貴族も廃藩置県に従うだろう!!中央集権化に向け大きな前進だ」


アリア「あの威厳と自信に満ちたヨミさんが…」


わし「逃げ場を無くして、強いストレスをかけ続ければ人は簡単に壊れる」




バン!!



キュリア「ただいまですーお兄様、アハハハハ」


マルクスⅨ世「かえったど息子よ、ガハハハハ!!」


何が面白いんだこのバカ親子は…


わし「おかえりなさいませ」


マルクスⅨ世「マルスよ!!新聞を見たが、我等の活躍が書いて無かったぞ!!」


キュリア「そうですよお兄様!!私達の大活躍が海賊になってましたわ!!」


おまえら海賊以下じゃないか…


わし「国防や戦略上、致し方無かったのでございます、レガシィ大帝国と戦争中なので、これ以上は敵国を増やせまぬゆえ」


マルクスⅨ世「攻撃はダメだったか?」


わし「もちろんでございます、私がどれだけ火消しに奔走してるか知っておりますか!?」


マルクスⅨ世「まだあるぞマルスよ、わしが少将の辞令とはどう言う事じゃ!!」


人の話し聞いてねぇ…


わし「お父様は、前線で戦いたいと仰っておられたので、お父様の天才的な戦上手は前線でこそ生かされると思いましての辞令でございます、元帥や大元帥は、おいそれと前線に出させる訳に行かぬゆえ」


マルクスⅨ世「え…?やっぱり天才的?やはりマルスもそう思うか??」


わし「もちろんでございます、見て下さい!!お父様の今回の陰ながらの大活躍を讃えて、新札の高額紙幣には、お父様を肖像画としております!!」


ドヤァ…


マルクスⅨ世「マルスよ…父が悪かった、そこまで思ってくれてたとは…」(感涙)


わし「いえ…良いのでございます…」(泣)


キュリア「お兄様…素敵です…」(泣)


マルクスⅨ世「では、休んでくる、余り無理をするなよマルス…」


わし「はい」



バタン…



阿保で良かったわ…カスの分際でわしを煩わすで無い




コンコン



今日は人が良く来るな…


カゼハヤ「カゼハヤです」


わし「入れ」


カゼハヤ「今さっき情報局に連絡が入り、ウゴン王国がレガシィ大帝国に占領されました」


ガタッ!!


わし「なに!!ホウトクや我が軍は何やってる!!」


カゼハヤ「どうやらウゴン王国への抜け道があり、昼夜を駆け抜けてウゴン王都に侵攻した模様です」


わし「それで?ウゴン王国の王族はどうなってる?」


カゼハヤ「詳細は不明ですが、なるべく救える様に諜報部隊が動いてます」



ギシィ…



わし「ウゴン王国側の森と平野の一部を我が国も占領するのじゃ、プランBの亡命政府を作って緩衝地帯にしてやり過ごそう作戦に変更だな、ホウトクに司令書を書くから渡してくれ」


カゼハヤ「分かりました、でもホウトク様もレガシィ大帝国の動きに気付き、もう動いております」


わし「うーーーむ…後で詳細な報告待ちだな」


このままだと大量の難民がまた増える流石に養いきれない、ウゴン亡命政府(仮)の建国は急務だな…難民は亡命政府側で養って貰わないと、こっちが傾く…



ゆっくり内政とは行かないか、平和がどれだけありがたかった身に沁みるわ



次回に続く…

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