第6話 ゆるくて平和だけど、特別な俺たちの毎日

 恭とデートをした翌日。いつもなら憂鬱なはずの月曜日もなぜか妙にワクワクして、はりきって早起きして学校に来てしまった。


 恭は今頃体育館でバスケやってるかな。

 昨日はラブい感じのメッセージのやりとりしちゃった、というかキスまでしたけど、今日あいつの顔見れるかな。こういう時に同じクラスって気まずいな。会いたいような、会いたくないような……。


 そんなことを考えながら、誰もいない教室でスマホを何度もチェックしながらソワソワしていると、南が教室に入ってきた。


「お、今日は早いじゃん。彼氏とは上手くいってるかぁ?」

「だから、彼氏言うな」


 俺の顔を見るなりそんなことを言われ、朝から頭が痛くなってくる。


 恭と付き合ってることは南しか知らないから、南に恭とキスしたことを相談しようかと思ったけど、こいつに恭とキスしたなんて言ったら、間違いなくうざい反応されそう。うん、やっぱりやめとこ。


 しつこく恭とのことを聞き出そうとしてくる南を適当にあしらっていると、恭とバスケ部のやつが一緒に教室に入ってきて心臓が止まりそうになった。


「おはよう、良典。南」


 俺たちに気がついた恭にさわやかな笑顔を向けられ、本気で俺の心臓を止めにくる。何で朝からそんなにかっこいいんだよ。

 バスケやってきて、そんなにさわやかなんて反則じゃね?


「お、おー。バスケ部の朝練終わったの?」

「うん。良典も早いね。昨日は遅くまで付き合ってもらっちゃったけど、寝坊しなかった?」


 動揺を必死で隠しながら恭に話しかけると、みんなの前で昨日のことを言われ、さすがに動揺を隠しきれなかった。


 恭が言ってるのはメッセージでのやりとりのことで、別にキスしたことを言ってるわけじゃないけど、思い出してしまうというか。無駄に恭の唇ばかり見てしまう。


「だ、大丈夫だった」


 上手い返しも思いつかず、どうにかそう答えるだけで精一杯だった。「中野と遊んだの?」とバスケ部のやつに聞かれている恭から視線を外すと、前の席に座っている南が含み笑いで俺を見ていた。


「なになに? 良典とか呼ばれてんの? お前も恭って呼んじゃったり? フー!」

「うざ。別に普通だろ。何なんだよ、そのノリ」

「はいはい。付き合ってるんだから、名前で呼び合うことくらい普通だよな」


 うぜー! ニヤけ顔で絡んでくる南の背を押して無理矢理前を向かせると、英語の予習をして気を紛らわせようとする。もちろん集中なんて全く出来るわけないけども!


 授業が始まってからも、目が合うたびに笑いかけてくれたり、こっそり手を振ってくれる恭にドキドキしっぱなしだった。席は離れてるのに、恭のことばかり意識してしまって、何度もチラチラ見てしまうせいか、やたら目が合う。 でも、これって恭も俺のこと見てるってことだよな?


 そうか、同じクラスのやつと付き合うってこういうことなんだよな……。授業中もいつも彼氏と一緒。良いのか悪いのか……。

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