23話 告白1/2
23.告白1/2
月曜日、職場では、どうしても裕子が気になって、そっちを見てしまう。
裕子は相変わらず仕事に一生懸命で、俺の方を見る事がない。
でも、彼女のマンションで気が付いた美しい顔は、やっぱり本物だった。
それを見ているだけでもうれしい。
彼女が顔を上げこっちを見た。ニッコリと頭を右に傾けた。かわいい。
思わずコクっと頷いた。彼女もコクっと頷いて仕事モードにはいった。
話がしたい。
俺は彩を忘れるため、仕事漬けの毎日を送ったせいで、上司や廻りから結構シビアな仕事を押し付けられてくるようになっていた。
明日から急遽海外出張に行かなければならない。俺の課の取扱商品は蛸。
輸入元とのトラブルが発生し、蛸の確保のため出張に行かなければならなかった。
せっかく彼女との関係ができたし、あの落ち着けるマンションに行きたかったが、今度の土日に帰って来れるか怪しい。
今日は、1日現地への連絡やその前準備で会社にいるので、なんとか彼女と話しがしたい。
お昼になったので、一緒に食べようと思い、周りを気にしながら彼女の方に歩いていくと、彼女から「高谷さん、一緒にお昼しませんか?」声をかけてくれた。
「うん、どこ行こうか?」
「あの、私、お弁当2つ作ってきたんです、食べませんか?」
「ありがとう、でも裕子ちゃん周りの目は?」
「私は大丈夫です、むしろうれしいです。高谷さんこそ平気ですか?」
彼女は俺を受け入れてくれる決心をしてくれたんだ そう思った。
俺も覚悟を決めよう。
「うん、俺も平気だよ」
そう言って2人で 休憩スペースで 弁当を食べている人たちの中に紛れ込んで2人で彼女の弁当を食べた。おいしい。
うれしかった。
離婚してもうすぐ1年になるがその間、もんもんとしていた。
先が真っ暗でまったく見えず、先週末 彩と近藤のあれを見て、月曜日がこないでほしいとまで思っていたのに。
それが、この土日で彼女との関係が急変し、過去と未来がはっきり見えてきたと、
彩の事がふっきれた(それくらいの気分)。
裕子がとても愛おしく、できることなら今すぐ思いっきり抱きしめて、そのまま離したくない。
彼女にこの気持ちを、告白を、 そう思っていた。
何とか感情をおさえ
「このお弁当 すごくおいしい、また食べたいな」
「そう言ってもらえると嬉しいです。よろこんでまた作りますね♡」
「実は明日からブリタニアに出張で、今度の土日に帰れるかわからないんだ、
でも どうしても 伝えたい事がある。」
裕子が真剣なまなざしで俺を見る。
「帰ったら 裕子ちゃんのマンションに行ってもいいかな?」
「はい、高谷さんなら いつでもいいですよ、待ってます。」
「うん、じゃあ 帰ることが決まったら連絡する」
「はい お待ちしてます」
そう言って別れた。
裕子は土日に高谷に言葉にはしなかったが、自分の思いを体で現した。
しかし、高谷がどれくらい自分の事を思っているか、彩の事は忘れられたのか
はっきりわからなかった。
高谷の言った、伝えたい事、は何?裕子は期待と不安を胸に克己が帰ってくるのを待った。
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